2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

6…暴走

酒向side 「はぁっはぁっはぁっ」 栞さんは目を見開き、体がブルブルと震え出す 何かを振り払う様に頭を動かし、苦しみに耐えている 「はぁっはぁっ、あぅ…っ、ぅ、ぅあ…あああああああああああああっ!!!!!!」 栞さんが叫びながら手足をバタつかせる …

5…深見

「深見様、お待ちしておりました」 「よう、間に合ったみてぇだな」 「はい。全員が飲まれたところです」 「そうか」 常連達が自然と道を開け、深見という男性が俺達の所まで近付いてくる 深見は自然な動きでグラスとお菓子を取り、あっという間に飲み干す …

4…接触

5回目のパーティーに参加してると 「こんばんは」 男性が1人、近寄ってきた 「僕はこのパーティーを主催してる岸谷(キシタニ)です。 君達、最近よく来てくれてますよね」 岸谷さんがポケットから取り出したのは、2つのチョコレート 「1人1個ずつ 常連さんだ…

3…常連

会場から出る時、まだ何組かは残ってるのに気付く 何かあるのか? 立ち止まってると、スタッフが近寄る 「お客様、どうされましたか?」 「…いえ、まだ残ってる人達がいるなと」 「あの方々は常連様なんです。常連になられなすと、特別な催しに参加出来ます…

2…パーティー

会場に入り、名前を告げればフリーの状態になった 食事はいくつかのテーブルに用意されてるのをビッフェタイプで各々食べる様だ カップルだけで会話したり、周りと交流をしたりと様々 隅で全体を見てると、不意に栞さんがスッと後ろに隠れる 前を向けば、1組…

囚われの姫 4

1…捜査 俺は酒向 春 桜井組に属し、組の影である鷹…栞さんのサポートをしてる …いや、していた 鷹はもう、存在しない 俺が、消したんだ ある日 仕事関係の書類を持ち、若の部屋に 「若、書類を持ってきました」 「入れ」 「失礼します」 襖を開ければ、机に…

11…独占欲、再び

数日後 栞と縁側でのんびりしてると、急に栞が明後日の方向を向く 「? どうした?」 「今、ケイから呼び掛けられた」 「…」 ケイは海外に戻った後も、こうやってたまに《テレパシー》で栞と話す 前に、何でケイから出来るのか聞いたら 『違うよ。ケイにも蓮…

10…脱出

ケイは先頭で迷いもせずに廊下を走ってく 「お前、何で道が分かんだよ」 「栞が見取りもしてくれてた、俺は頭脳は優秀なんだよ」 廊下の突き当たりに差し掛かると 「…ダメ」 ボソ…と栞が呟く 「え?」 突き当たりを過ぎると、目の前には銃を構えた奴等が 「…

9…クライアント

「…、…」 「…、」 誰かの声が聞こえる バシャッ!と冷たい何かを掛けられ、意識が浮上する 「…ぅ」 「起きたかね?」 この声、どっかで… ゆっくりと頭を上げれば 「アンタは…」 唯一、別邸に来た 「あの時の、クライ…アント」 「私を覚えてるのか?嬉しいね…

8…襲撃

蓮side 栞と廊下を歩き始めると、ピタ…と栞が止まる 「? 栞?」 栞を見ると、左目にペンタクルが 何をして その時、栞が目を見開き 「伏せろ!」 栞に押されて倒れた瞬間 パリンッ!とガラスの割れる音が 「走れ!」 無我夢中で廊下を走り、バンッ!と応接…

7…独占欲

夕方 今日の仕事が終わり、俺と栞は自室に戻ろうと動き 栞が扉を開ける時 「栞」 「はい」 「明日は最初から婚約者になってもらうよ」 「!?…っ」 「分かりました、では」 栞は即答し、先に部屋を出る 動揺を隠しながら扉に手を掛けると 「ホントに婚約者に…

6…仕事

仮組員として栞に付いて、この数日間 今のところ、栞は妹として動いてる そしてケイの言ってた通り、外出が多い 初日に俺が免許を持ってるって言ったから、俺が運転しての車移動が殆どだ 勿論車は防弾…なんかじゃなく、普通の自動車 栞が護衛を引き受けたか…

5…依頼人

玄関に行き、靴を履くと 「行くぞ」 栞の手を握れば《テレポート》で、どこかの部屋に まだ朝日が無ぇから薄暗い 「ここは?」 「俺が与えられてる部屋だ」 栞はクローゼットからスーツと金髪のウィッグを取り出す 「今回はどんな依頼なんだ?」 スーツって…

4…仮組員

楼side 0時を過ぎる頃、書類仕事をしてると 「兄貴」 襖越しに蓮の声が 「何だ、こんな時間に」 「話がある」 「…」 何か苛立ってんな こりゃ話聞くまで絶対に退かねぇな… 「入れ」 少し乱暴に襖が開き、蓮がズカズカと来る 俺は書類に目を通しながら 「話っ…

3…嫉妬(2)

早朝に仕事へ向かい、終えたのは23時になる頃 家の玄関に《テレポート》して、靴を脱ぐ 襖を開けると、蓮はこっちに背を向けて座ってる 「?」 おかしい いつもだったらすぐに立ち上がって、おかえりって言ってくれるのに 「…ただいま」 不思議に思いながら…

3…嫉妬(1)

翌日 隣で動く気配を感じ、朧げに目を覚ます 「…栞?」 「あ、ゴメン。起こしちゃったね」 栞は身支度を整えてる「こんな早くからどうした?」 「仕事に行ってくる」 「!」 仕事というフレーズで、一気に頭が覚醒する ガバッ!と起き上がり、栞の手を握る …

2…モヤモヤ

その後、夜になっても栞は帰ってこない 「遅ぇな…」 いや、仕事の時は遅くなるのは時々ある いつもの事だって、分かってんだが… 「…」 何だろうな、何か気になる… モヤモヤして考えてたら、いつの間にか23時を過ぎてる まだか、まだ帰ってこねぇのか? する…

囚われの姫 3

1…蓮の悩み 蓮side ある日 出掛け先から帰ってる道すがら サラリーマンや作業服の人、働いてる人達が沢山目に入る 大学を卒業してから、ずっとこれからの事を考えてる 兄貴や親父の関係する会社に就職するのも、全く違う事をするのも良し 催促されてる訳じゃ…