8…襲撃

蓮side

栞と廊下を歩き始めると、ピタ…と栞が止まる


「? 栞?」


栞を見ると、左目にペンタクルが

何をして


その時、栞が目を見開き


「伏せろ!」


栞に押されて倒れた瞬間

パリンッ!とガラスの割れる音が


「走れ!」


無我夢中で廊下を走り、バンッ!と応接室の扉を開ければ


「どうした!?」


ガラス音に気付いたケイが近寄ってくる

栞の左目にはまだペンタクルが


「アイツが痺れを切らした」


栞がそう言うと、ケイは苛立った表情で


「クソッ、やはり諦めてなかったか」

「どうする?ここで俺が制圧するか?」

「……、いや、アイツの持ってる情報が欲しい」

「なら…」

「ああ、頼む」

「おい、俺を置いてくなっ!」


ケイはここで使ってる資料を掻き集め始める

栞は俺に向き


「蓮、もう少しでここに何かしらの薬が放り込まれる

 恐らく眠り薬か、痺れ薬だ

 だが、俺達はわざと食らって奴等の根城まで運んでもらう」

「!? 何でそんな事!?」

「ケイが言っただろ、アイツの持ってる情報が欲しいって

 その為には奴等の懐に入るのが手っ取り早いんだ

 この状況は想定外だったが、利用する」

「…っ、アイツって、誰なんだよ」


ケイが資料を持って、栞の前にドサッと落とす


「これで全部だ!」


栞が資料に目を向けると、一瞬で消えた


「何を?」

「異空間に運んでもらった。アイツ等に渡す訳にいかないからな」

「…もう時間が無い。とにかく、何があっても蓮の正体だけはバレない様にする」


栞が俺の手を取り指輪に触ると赤い光が溢れて、俺を覆う


「これで、もし咄嗟に情報が漏れても大丈夫」


栞が顔を上げると、ニコッと笑み


「蓮は、私が護る」

「栞…」

 

その時

窓がパリンッ!と割れ

黒い物体が床に落ちたと思ったら白い煙が部屋に充満していく


「ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!」


次第にやってくる眠気で立っていられなくなり、俺は意識を手放した