4…接触

5回目のパーティーに参加してると


「こんばんは」


男性が1人、近寄ってきた


「僕はこのパーティーを主催してる岸谷(キシタニ)です。

 君達、最近よく来てくれてますよね」


岸谷さんがポケットから取り出したのは、2つのチョコレート


「1人1個ずつ

 常連さんだけに渡してるから、内緒ですよ?

 今日はパーティーが終わっても帰らないでね」

「分かりました、ありがとうございます」

「じゃあまた後で」


岸谷さんが目の前からいなくなる

後ろにいる栞さんにチョコを渡す


“…、ただのチョコだ”


パーティーが終わり、常連以外が帰っていく

数分後、岸谷さんが現れ


「お待たせしました、皆さん奥の部屋へどうぞ」


スタッフの出入口である暗い通路を歩いていけば、奥の部屋から光が漏れてる

全員が入りきると、扉の前にスタッフが立つ

不審に見えない程度に部屋を見渡す

窓がどこにも無い

いくつかの照明は薄明かりに灯り

その真下に色とりどりの花が飾られている

全体を見渡せる位置にさりげなく移動する


岸谷さんが手を上げるとスタッフがワゴンを押し、部屋の4ヶ所に運ばれる


「さあっ今日も沢山用意しました!楽しんで下さい!」


ワゴンには色とりどりのラムネの様なモノと赤色の液体が入ってるグラスが


”鷹“

”…いや、ただの菓子と、グラスの中身はワインだ”


注意深く観察してると

岸谷さんが手を挙げ、持ってるのは先程貰ったチョコと同様の物


「皆様!先程渡したチョコは、まだ売られていない新作です」


ワゴンからグラスを取り


「この中に入れると」


チョコが溶け、赤色のワインがシャンパンの様な金色に

周りからは驚きの声が


「さあ皆さん!やってみて下さい!」


常連達が一斉にグラスを取り、チョコを入れて色が変わるのを楽しみ、喉を潤す

周りを見てると、岸谷さんが手で招いている

常連達の間を抜けて、側に行くと


「お二人もぜひ」


栞さんに目を合わせれば、コク…と頷かれる

グラスを取り、貰ったチョコを入れる

…匂いはシャンパンだ

一口飲み込み、ふと周りを見れば

お菓子をグラスに入れる人や、直接食べてる人が

岸谷さんはニコッと笑顔で


「コレも美味しいですよ、ぜひ食べて下さい」


ソレを1つ取ると


「1つだけですか?もっと食べて下さい!」


俺と栞さんの掌にはお菓子がいくつも乗せられる

ソレを全部シャンパンに入れ、一口飲み込むと


「もっと、グイッと!」


周囲の目線を引き付けられた

全て飲み込み、隣を見れば栞さんも飲み干してる

その時、ガチャッと後ろの出入口が開く音と


「やっと来れたぜ。あれ?まだ始まってねぇのか?」


若い男性の声が