6…神崎 修二

談笑タイムは未だに続き、チラホラと縁談話が聞こえてくる

お父さんや楼が主に話してるけど、蓮や紫音も声を掛けられる


「あの〜、少しあっちで話しませんかぁ?」


2〜3人が一気に来た

メイクが濃くて香水もキツい


「いえ、結構です」


2人が誘いを断るのを後ろで溜息を吐きながら見てる中、トンットンッと肩を叩かれる

振り向くと、口の前で人差し指を立てる神崎さんが


「少し、お話出来ませんか?」

「…」


どう断ろう

そう考えてると手を引っ張られ、連れられたのはバルコニー

 

「あの…」

「! すみません、了承も得ず」


神崎さんが手を離す


「神崎栞さん」


神崎さんは真剣な表情で


「栞さんと、呼んでもいいですか?」

「………どうぞ」


神崎さんは目を閉じ、深呼吸して

私に目を合わせる


「栞さん、貴女が好きです」

「!」

「先程挨拶した時、見惚れてしまいました」

「…」

「知り合ったばかりですが、付き合ってもらえませんか?」

「…気持ちは嬉しいです。ですが、私には恋人がいます

 ごめんなさい」

 

会場に戻ろうと神崎さんに背を向けると、パシッと後ろから手を掴まれる

振り返っても、神崎さんは俯いて表情が分からない


「…すみません、離して下さい」

「…」


手をグイッと引っ張られ


「!」


バランスを崩し、正面から神崎さんにぶつかる

背中に神崎さんの手が周り、抱き締められる


「…っ、神崎さん、離して下さい」


何とか抜け出そうと動いてると


「俺じゃ、ダメか?」

「!」


口調が…


「これがホントの俺だ」

「…っ、離して、下さいっ…」


気を付けてないと《サイコキネシス》が解けて震えが…っ

力で無理矢理でも


「そういえば、変な噂を聞いてる」

「?」

「神崎家の長女は、不思議な力を持つバケモノだって」

「!?」

「誘拐されたのはソレが原因かもって、今でも噂が絶えねぇ

 知ってたか?」

「…」


《バケモノ》

私の力は…私は、周りからすれば、恐怖の対象…バケモノに見えるんだ

ここで力を使えば、この人…いや会場に居る人達に騒がれて怯えられて

蓮や紫音、桜井家、皆に迷惑が掛かる

 

そう考えてる間に首に柔らかい感触が


「!…っやめ」


すると、今度は痛みが走る


「んっ…!」


神崎さんは顔を上げ


「可愛い、ますます好きになった」


両手で顔を上に向かせられ、神崎さんの顔が近づく


「!」


顔を逸らしても、無理矢理向かされ唇を塞がれた


「(嫌!)」


ドンッと思いっきり突き飛ばす

神崎さんはよろけるも、転びはしなかった


「栞さん、いや…栞」

「!」

「俺は神崎家当主になった。つまり、俺の機嫌次第で桜井家を堕とせる」


神崎家はまだそんな影響力は無い筈


「…貴方にそこまでの力は無「あるぜ?この場でならな?」」

「お前の事をここ(会場)で悪く言えば、桜井家はどうなると思う?

 ああ、恋人にも話さない方がいいかもな?

 ソイツが俺に手を出したら、それこそ…」

「…っ!」

「な? 恋人なんて関係無い、お前は…俺のモノにする」


ゆっくりと近寄ってくる


「いや、来ないで…」


後ずさっても、壁に当たり逃げ道が無くなる

神崎さんは私に覆い被さり


「恋人よりも、俺が良いって思わせてやる」


その時


「神崎さん、と…栞?」


バッと声の方に向くと、居るのは…蓮