35…真実

紫音side

姉さんが蓮を護る事になってから数日経つ

登下校は蓮と一緒、学校でも倉庫でも

最初は、そんなに一緒にいなくてもと思ってたけど

酒向さんに鍛えられるまでは気付かなかった、敵の気配

蓮に向けられる殺気が嫌でも分かる

なのに蓮がいつも通りなのは、姉さんのお陰

蓮自身が殺気に気付く前に、姉さんが対処してる

姉さんは、必ず一瞬で終わらせる

これなら、心配いらない…筈だった


ある夜、家で過ごしてると

ドンッドンッ


「紫音君!!」


急に酒向さんが訪ねてきた


「どうしたんですか?」


春さんは息を切らして


「紫音君っ、栞さんが怪我を負った!」

「!?  な…っ!?」


俺は酒向さんの運転する車で桜井組へ

 

桜井組に着き、楼さんの部屋へ走る


「姉さん!」


駆け寄って座り、手を握る


「姉さん…!」


出血が多かったのか、顔は青白い

姉さんは強い、力を使わなくても身体的にもっ…、なのにっ


「なんでっ…こんな事に…!姉さん…っ」

「やっぱり、栞なんだな」

「!?」


開いてる襖から現れたのは蓮


「あ…」


迂闊だった

そうだ、姉さんは蓮を護ってたんだ

そしてここは桜井組、蓮の家

蓮がいるのは当たり前なのにっ

気が動転して、姉さんを《雫》って呼ぶのを忘れてしまった

俺の考えてる事が分かったのか、蓮は苦笑して


「紫音が姉さんって呼ばなくても、確信はあった」

「…何で」

「怪我を負った時、俺の目の前にいたんだ。

    その時、フードが取れて素顔を見た。

    カラコンが取れてて左目が赤色だと分かった、ペンタクルも

    俺に見せてくれた笑顔も、あの頃と変わらなねぇ…

    それに…」


蓮は自分の胸元を指差して


「ネックレス、アレって特注品だったろ?」

「…」


蓮は俺の横まで来て座り、姉さんを見る


「紫音、もういい。隠さなくていい。俺も、栞を見つけた」


ああ、ああ…やっと、蓮が姉さんと会えたのか


「…っく、…っう」

「今まで、頑張ったな。紫音」


蓮が俺の頭をポンッポンッと優しく叩く


「ずっと…ずっと…、言いたかったんだ。でも、」

「栞に口止めされてたんだよな、兄貴や和士さんにも」

「…っゴメン、蓮…っ」

「もう、いいんだ。会えたから、見つけたから。だから紫音、全部話してくれるよな?」

「…その事、なんだけど「そろそろいいか?」」


和士さんが入ってきた


「今日はもう遅い、布団を用意した。休め」

「ありがとうございます。でも、姉さんと離れたくない」

「俺もだ」

「……そう言うだろうとは思ってたよ。ほら」


和士さんが2人分の布団を部屋の隅に置き


「ちゃんと、休めよ」


「蓮」

「そうだな、少し休むか」


俺達は姉さんを挟んで、布団を敷いて眠った