14…組の影、鷹(2)

落ち着いたとこで桜井さんに向き直る


「桜井さん」


お互いに視線を合わせ、逸らさない

気を抜けば、体が震えそうだ

でも、ここで退く訳にはいかない

どれ位経っただろうか…

桜井さんが目を閉じ


「はぁ〜、分かった」

「楼…」

「ありが「但し」」

「栞の…鷹の傍っつう事は、今まで経験した事の無ぇ事が起きるかもしれねぇ

    常識が通じねぇ事もな、覚悟はいいか」

「はい、出来てます」

「なら、これからは稽古をつけさせる。栞、サポートしてやれ」

「稽古?」

「まずは力を付けなきゃな。」

「一応、白狐の幹部なんですが」

「それがなんだ。さっきも言ったろ、ガキの喧嘩程度じゃ通用しねぇ

    大人の…極道の喧嘩を教えてやる」

「えっと、さ、桜井さんが?」

「いや、今から呼んでやる。栞」

「ん」


数分経つと


「入れ」


襖が開き、立ってるのは30代くらいの男性

その人は桜井さんの横まで行き、姉さんを見て


「お疲れ様です、栞さん」

「ん、春もお疲れ」


姉さんと親しげな感じ


「こいつは酒向、栞をサポートしてる奴だ。酒向、こいつは神崎紫音、栞の弟だ」

「酒向春です」

「神崎紫音です」

「酒向に相手をしてもらう。頼んだぞ」

「はい」

「場所は栞が作ってくれる」

「…作る?」

「話は以上だ」


酒向さんが出て、俺も姉さんと出ようとした時

ふと疑問に思った


「桜井さん」

「何だ」

「何で姉さんは鷹と呼ばれてるんですか?」

「それはな…栞の戦闘スタイルが鷹みてぇだからだ」

「戦闘…スタイル?」

「鷹が獲物を探す時、少しも見逃さず探し求める様子、目つきがピッタリだ。

    相手を探す時も上から見下ろすからな」

「上から見下ろす?」

「そのうち分かる。紫音も何か考えねぇとな」

「栞が鷹で、紫音の左目は青。……蒼鷹(そうよう)」

「「ソウヨウ?」」

「蒼の鷹でソウヨウ。羽が青色を帯びてるから、そう呼ばれてる」

「ありがとうございます」

「それと…。紫音も栞同様、影の存在だ。誰にも素顔を見られるな」

「はい」