6…白狐の、偽りの姫(2)

翌日

白狐の幹部に話した


「やっと折れてくれましたか」

「雫が姫」

「お前等、良いのか?姫っつっても…」

「大丈夫ですよ。お互いの了承を得てるんですよね?

    蓮がそう決めたんなら、従います」

「俺も」


朔と紫音は、納得してる

問題は


「…」


前原か

まあ、事実を知ってれば私にはどうでもいい

そして和士や正にも


「「姫になるのか!?」」


理事室で書類仕事をしてる和士、勢い良く立ち上がった所為でペンが落ちる

正はあくまで冷静に


「何でだ?今まで断り続けてただろ?」

「メンドくなった」

「「は?」」

「探されて声掛けられて、ウザかったから」

「「…そっか」」


そういえば


「桜井蓮、私を探してるんだって」

「「!?」」

「もしかしたら、無くしてる記憶かもしれない。」

「それでも、声を掛けられるのが面倒なだけで姫になるのか?」

「うん。それに記憶が戻っても戻らなくても…いずれ私の記憶は忘れさせる」

「どういう事だ」

「どっちにしても、私に関わらせる訳にはいかない

    私に関する記憶は皆から無くして消える」

「記憶を無くさなくても、消えなくてもいいんじゃないか?

    神凪雫としてでも、神崎栞としてでも蓮達の側にいればいい」

「駄目。私と関わってれば危険な目に合う、私という存在を記憶から消して、消えないと…

    本当だったら誰も関わっちゃいけない

    だからその時は二人にも、記憶を消し「「ふざけた事言ってんじゃねぇ」」


久し振りに見る。

和士と正の、ガチ切れ


「抑えて」

「「…はぁ」」

「話はそれだけ。あ、それと、もう男の格好はいいよね?」

「ああ。そうだな」

「んじゃ」

 

 

「和士」

「…なんだ」

「あれでいいのか」

「…」

「記憶を消すって、居なくなるって…」

「…」

「何が栞をああさせてるんだ、栞が恐れてるのは何「正、それ以上言うな」

「和士、お前は知ってんだろ?」

「…栞だって、忘れたくて忘れた訳じゃない。忘れさせられたんだ」

「どういう事だよ…」

「お前はこれ以上、踏み込んでくるな」

「なっ…」

「これ以上関わる事は、許さない」

「…っ」

「お前には大事な家族がいるだろ、お前に危険が及べば家族が悲しむ

    栞も責任を感じる」

「…」

「正」

「……分かったよ」