13…桜井組

理事室に行くと


「姉さんっ」


ソワソワしてたっぽい紫音が目の前に来る


「蓮、大丈夫だった?」

「大丈夫。ゴメンね、紫音が蓮と気まずくなる」

「俺はいいよ。ところで、まだ昼過ぎだけど、行くの?」

「うん、行こうか。和士、ここから行くから」

「おう」

「ここから?」

「明るい内に直接行くのは少し危険だから。私の部屋まで」

「分かった」

「じゃあ、手握って目を瞑って」


桜井組の部屋を頭に浮かべ《テレポート》

 

 

紫音side

体がフワッと風に包まれ


「はい、着いた」


目を開ければ、そこは見知らぬ部屋

ここが桜井組の姉さんの部屋

キョロキョロ部屋を見てると

姉さんはクローゼットから黒いローブを取り出し、制服の上から羽織る


「制服じゃダメなの?」

「ダメ」

「俺、制服なんだけど…」

「紫音は大丈夫、ソレ(ネックレス)を付けてれば。

    私は素顔を見られる訳にはいかないから」

「どういう事?」

「私は影の存在だから。それに、コレがここでのスタイル」

「影?」

「これから楼に会うけど、楼が『いい』って言うまでは、

    フードは取らないし口調も仕草も変わるから」

「分かった」

「じゃ…」


姉さんがフードを被る


「行こうか」


部屋を出て、姉さんの後ろを着いていく


ある襖の前で止まると


「入れ」


急に聞こえた声で思わず緊張する


「行くぞ?」

 

 

中に入ると紫音は恐る恐る後を着いてくる

楼の視線が私を通り越し、紫音を射抜く

後ろで紫音がピシッと背筋を伸ばすのが見なくても分かる

射抜く様に見てる楼だけど、口角がどんどん上がる


「クククッ…、そんなに身構えなくてもいい。なあ?」

「そうですね。」

「もう、いいぞ?」

「ん」


雰囲気が柔らかくなったとこで、漸く紫音がホッと肩の力を抜く

私はフードを外す


「桜井組の組長桜井楼だ。紫音、久し振りだな」

「はい、お久し振りです。」

「栞、良かったな。ちゃんと、会えて」


姉弟として再会出来た事だ


「ありがと」

「さて、和士から話は聞いてる。

    俺からも、知りたい事があれば、出来る限り答える」

「じゃあ…あ、あの…」

「何だ?」

「さっき姉さんが言ったんですけど、影の存在って…」

「…そうだな。ここに来て、俺に会った以上…知っておくべきだな」

「楼…」

「いい、俺が話す」


楼の雰囲気が変わる

私は二人から離れ壁に寄り掛かり、腕を組んで様子を見る