2…白狐との出会い(4)

正side

桜井が女だと気づき、しまったと思った…

でも


「違う」


栞がハッキリと否定した

お前の抱えてるモンに巻き込まない為に、紫音を…アイツを守る為に


落胆する神谷

桜井はまだ何かを疑って雫を離そうとしない

これ以上追求される前にと、栞の肩を掴んで引き寄せる


「今井、何すんだ」

「ソレはこっちのセリフだ。雫は神谷の姉じゃない」

「…」


桜井は何か言いたそうだが、屋上を出ようと踵を返す

ドアを跨いだ時


「じゃあ話を変える」


栞が立ち止まる


「神凪雫、白狐の姫になれ」

「「!?」」

「…は?」


そう来たか…

栞は少しだけ振り返る、メンバーは突然の事に動揺してる

桜井は雫を真っ直ぐに見つめる

コイツは何かを感じ取ってるのかもしれない


「行こう、正」

「…ああ」

 

 

蓮side

雫には何かある、感じたんだ

逃がさねぇ

だから、雫に白狐の姫になれと言った

朔は驚き、春也は少し眉を寄せてる


「こうなりましたか」

「ねえマジ!?アイツを姫にするの!?」

「…蓮」


戸惑ってる紫音


「あの人を…姫にするのか?」

「ああ」

「神凪と今井は別人って言ってるけど。

    本当に違ってたら、姉さんは?」

「…」


紫音の言いたい事は分かってる

あの事件後、幼馴染がいなくなり、寂しさと悔しさで探してた

中学で白狐に入り、自然と女が寄ってくる

寂しさを紛らわそうと付き合おうとした女もいたが

そんな時、脳裏に浮かぶのが…栞

アイツなら、どんな風に笑う?

どんな風に、微笑んでくれる?

もし、栞が俺以外の男と付き合ってたら…そんなのは耐えられねぇ

想像上の男に怒りを向ける程

いつの間にか栞を、ただの幼馴染じゃなく、女として見てる

俺は、栞が好きなんだ

紫音は


『…見てれば分かるよ。姉さんを幸せに出来るのはきっと蓮だ

    蓮になら任せられる

    だから、諦めないで…姉さんを見つけよ』


何があっても俺の気持ちは変わらない

雫は、栞と繋がってる

そう…感じたんだ


「アイツには何かある」

「そう、だね。それは俺も感じた。」

「蓮と紫音がそう言うのなら…」

「…」

「「きっと栞(姉さん)と繋がってる」」