2〜白狐との出会い(1)

扉が開き男達が入ってくる

朝に会った男…桜井と眼鏡とその後ろから警戒してる男

そして、会いたくなくて、会いたかった…紫音

それぞれが警戒しながら近づいてくる

駄目だ、体が震え始める

朝、何故か桜井には震えなかったけど、今は知らない奴も居る


「お前、誰だ」


フードを被ってるから、桜井は気付いてない


「答えろ」

「ここを白狐の溜まり場と知っての行動ですか?」


眼鏡は敬語を使うのか


「名前は?」

「…」

「お前、聞いてんだから答えろよ」


眼鏡の後ろにいた男が苛立ち始める、短気か

紫音は視線を向けてくるだけ


「おい!なんか言えよっ!」


紫音に意識を向けてる間に短気な男が近寄り、私の襟元を掴もうとする

来るなっ!

パンッ

伸ばされた手を叩いた


「っな…んだよテメェ!」


男は一瞬唖然としたが、私に拳を向ける…でも、遅い

顔を横に外らす


「うわっ!」


避けられると思ってなかったんだろう、その勢いでガシャンッとフェンスにぶつかる

眼鏡は目を細め、桜井と紫音は目を見開いてる


「テメェッ!!」


煩い

男を無視して立ち上がる


「待ちやがれぇ!」


そのまま屋上を出ようと歩き出す

パシッ


「!?」


桜井が私の手首を掴む


「この手首…お前まさか…神凪か?」


あ〜あ、気づかれた


「神凪、何でお前がここに居る」

「蓮、知ってるんですか?もしかして、春也のクラスで言ってた転校生ですか?」

「ああ、朝ぶつかった。」

「ぶつかったって、っつか転校生?」

「神凪、何でここに居る。」

「…」

「おい、答えろ」

「言う必要あるか」

「んだと」

「俺がどこに居ようがアンタには関係無ぇだろ」

「ここは俺達白狐の溜まり場だ」

「それが?」

「ここは職員室にある鍵か、俺が持ってるスペアでしか入れねぇ。

    なのに、何でお前が居るんだ」

「その職員室の鍵で開けた、それ以外にあるか」

「転校生のお前が?」

「…どうでもいいだろ」

「神凪…いや、下の名前を教えろ」

「……は?苗字だけで十分だろ」

「……蓮にこんな態度を取る人を初めて見ました」


眼鏡が何か言ってる


「俺が呼ぶ、答えろ」

「苗字でいいだろ、何で名前を教えなきゃならない」

「グダグダ言ってねぇで、さっさと教えろ。離さなねぇぞ」

「…はぁ」

「(ピクッ)」


桜井の顳顬に青筋が、これ以上メンドくなるのは嫌だな


「雫」

「雫、神凪雫な」

「もういいだろ、離せ」


掴んでるのを離そうと踠いてると


「おい」

「!?」


フードに手を掛けられる


「フード取れよ」

「あっ!」


抵抗するも遅かった