25…私の過去(1)

蓮side

雫を追って、ホテルの外を歩いてるが

おかしい

雫はさっきホテルから出たばっかだ、なのに見失った

幸いにも、気配を消さずにいてくれてるから意識を集中し、気配を辿る

少し離れた先のベンチに雫は居た

近付こうとしたら、反対の曲がり角から人の声が


「…こっちなら…少ねぇんじゃ…の?」


現れたのは10人程の集団


「お!女の子が1人で何してるの〜?」

「…」


男達が雫に近付く


「おい無視すんなよ〜、君1人?こんなとこにいないで俺等と遊ばねぇ?」


雫の手が震えてる…マズイ


「フードで顔見えねぇな〜、取ってもいい〜?」


バシッ


「俺に触んな」


声も震えてる


「震えてるよこの子!何?怖いの?大丈夫大丈夫!」

「俺等に着いてこれば楽しいよ〜?」


1人が雫に手を伸ばすと

ギリッ


「痛ってぇ!!」


手を捻り上げられ悲鳴を上げる


「触んなっつってんだろ」


そのまま横に男を投げる

雫は、震えてない


「コイツ何だよ!」

「くそ、無理矢理でも連れてってやる!お前等!!」


全員が雫を囲む

この人数、大丈夫なのか

そう思ってると、雫の雰囲気が徐々に変わる


「お前等、俺に潰されても文句無ぇな?」


遠距離にいる俺にも伝わる

冷たくて鋭い…殺気だ


「やれ!」


男達が一斉に雫に襲い掛かる

…が、雫は無駄の無い動きで潰してく


「ぐあっ!」

「痛ってぇっ!」


恐らく1分も経ってない

立ってるのは雫以外2人


「まだやるか?」

「く、くそ…っ」


雫の正面に立ってる男がチラッと、雫の後ろにいる奴に合図する

後ろの奴が


「うおー!」


大声を出しながら雫に向かう

雫は腹に一撃食らわせた

その時だ

ソイツが咄嗟に雫のパーカーを掴み、後ろに倒れるのと同時に剥ぎ取った


「!?」


初めて目にした雫の水着姿

いや、それよりも目が行くのは

街灯だけでも分かる

背中や二の腕、体中にある…傷


「テメェ、何なんだっその体…っ!気持ち悪りぃ!」

「!?」


思わず雫の表情を伺う

雫は無表情でソイツを見て


「気は済んだか?」


男が動揺してる隙に鳩尾に一撃入れた

雫は着崩れたパーカーを羽織り直し、俺の方を見る

しまった、動揺して気配出しちまってた

俺は雫に近寄り


「雫、だ「見てたのか」」


俺を見る目は、今までに無い…冷たい目

思わず立ち止まる


「見てたんだな」

「しず…」


雫と呼ぶ前に、目の前が何かで覆われる

これは、雫の手?


「何やって「悪いけど…」


手の隙間から見えた雫の目


「忘れてもらう」

 


意識が沈む寸前見えた

雫の左目に何かが浮き上がってて、胸にはあのネックレスが


「蓮の為にも…」

 

 

 

 

 

 

「やっと見つけた。マスターの人形」


傷を見られた時の一瞬動揺

それが事の始まりだった