24…嫉妬

ホテルに戻り

春也と朔は部屋に行き、俺も部屋に行こうとしたら


「おい、紫音」


蓮は俺の胸元を見て


「お前、ネックレスなんてしてたか?」

「!」


咄嗟にネックレスを握ってしまった

それを蓮が見逃す筈は無く


「今まで何も着けてなかったよな?」

「買ったんだ」

「どこでだ?」

「…どこでもいいだろ」

「俺等が住む辺りは、ネックレスとかを売ってる店は無い。

    隣町にしかな

    わざわざ隣町に行って、買ったのか」

「ああ」

「紫音、お前は高校生になったばっかだ。

    バイトもしてねぇのに、ソレを買うお金はどうしたんだ」

「親戚から「お前は、その親戚にお金を借りたり貰ったりはしないんじゃなかったか?」」

「前に言ってたよな?

    親戚でも、他人からお金だけは絶対に受け取らないって、

    金の所為で散々な目に合ってきたんだ。

    そんなお前が、親戚から金を貰ってネックレスを買っただと?

    そんな話、信じられるか」

「…」

「吐け、どこで…どいつに貰ったんだ」

「いい加減にしろ」

 


蓮と紫音が私を見る


「さっさと部屋に行こうと思ったのに、

    紫音がネックレスを着けてて、お前に何か不都合でもあるのか」

「無ぇが、今までそういうのを着けなかった奴が着けてれば気になるだろ」

「なら、着け始めた。それだけでいいだろ」

「…雫、俺が紫音と話してれば必ず割り込んでくるよな」

「紫音に私との事を聞きまくるからだろ。

    今まで自分にしかあんまり口をきかなかった紫音が、

    急に現れた私と話してるのを見て、私が気に食わないんだろ

    だから、紫音と話す私を見てモヤモヤしたりイライラするんじゃねぇのか?

    ある人に教えてもらった、そういうのを嫉妬って言うんだろ」

「…」

「黙るって事は、図星「違う」」

「確かにお前は気に食わない、自分の事は喋らねぇし、紫音とばっか話してるし

    見ててモヤモヤっつうか、イライラする。

    けど、お前に嫉妬してるんじゃない、紫音にしてる」

「紫音?」

「お前の言う通り、今まで俺としか殆ど話さなかったのに…

    お前とは最初から自分から話し掛けて、それにお前も応えて

    俺には笑顔も見せないくせに、紫音には見せて

    あの一ヶ月も、お前等…一緒にいたんじゃねぇのか

    紫音にしか見せないお前の姿…俺は紫音に嫉妬してんだ」

 


蓮は姉さんが好きだ

だから雫を好きにはならない

でも、姉さんと雫を無意識に重ねてるから…自身の感情に苦しんでるんだ

俺はもう、姉さんを見つけたから楽になれた…けど、蓮はまだ姉さんを探してる

目の前にいるのに、本当は教えたいけど…

蓮には言えない、蓮の為にも…今はまだ言っちゃいけない

ごめん、蓮


「…私は少し歩いてくる」


姉さんがフードを被って外に


「俺も…」

「紫音、少しだけ1人にさせて」


姉さんは夜道を歩いて行った

蓮は俺に向き直り


「俺が着いてく、お前は先に休んでろ」


蓮が姉さんの後を追う

早く、早く蓮も楽にしてあげたい

でも、今…姉さんの事を言えば、蓮はもっと傷つく

ホントに何で、蓮の事だけ忘れてるんだ