10…少しだけの真実(2)

紫音side

数時間後

目が覚めた姉さんは力の暴走後の事は、よく覚えてないらしい


「どこまで覚えてる?」

「紫音がネックレスを着けようとして、それを止めて…それからどうしたっけ」


そんなに覚えてないんだ

蓮が幼馴染って言ったのも覚えてないのか

都合が良いのか悪いのか

とりあえず話を切り替えようと俺は元の家に戻ろうって提案した

けど


「それは、駄目」

「何で、駄目なの」

「私の事は…」

「和士さんから」

「聞いたんなら、分かるでしょ?私は逃げてる。

    ここは楼が手配して、力を使って探られない様にしてあるから住めてる。

    紫音とあの家には戻れない。」

「なら、俺がここに来るのは大丈夫?」

「………ちょっと待ってて」

   

姉さんが部屋に入り、戻ってくると手にはネックレスが


「コレ着けて」


首に掛けるとソレに姉さんが触れ、左目にペンタクルが

姉さんの指から赤い光が溢れてネックレスから次第に俺自身を覆う

光が消えると


「これで大丈夫」

「今のは?」

「《リプレイス》憑依する力」

「憑依?」

「コレに《ヒュプノ》催眠を憑依させた。奴等に関係する人間からは紫音は別人に見える」

「そうなんだ」

「家にはいつ戻るの?」

「親戚のとこに荷物があるから、それを運び終わってからだね」

「手伝おうか?」

「え?」

「お姉さんに任せなさい」

 


翌日

紫音と親戚の家へ

予め、紫音に家の人に話をしとく様頼んだから、誰も居ない


「私の肩に手を乗せて、運ぶ荷物を見て部屋をイメージしてて」


紫音が肩に触れるのを確認して

《テレポート》すれば荷物がスッと消える

それを繰り返し、あっという間に部屋が綺麗に


「ありがと、助かった」

「これ位、全然」

「じゃあ、帰ろっか。」

「そうね」

「姉さんとこに行っていい?」

「荷物は?」

「今度でいいよ。姉さんと少しでも一緒にいたい」


家を出た後、紫音がジッと見つめてくる


「何?」


紫音が片手を出してくる

思わず周囲を見て、誰もいないのを確認する


「大丈夫、誰も見てないよ。コレがあるし」


今、姉さんにとって危険は無い

そういう意味で大丈夫と言ったけど


「そうじゃない」

「?」

「紫音と…こうやって手を繋ぐのが嬉しくて、恥ずかしくて、

    誰も見てないか心配だっただけ」

「…」


手を出したまま思わず固まる


「?  紫音?」


コトリと首を傾げる姉さん

可愛い…


「あ、いや…うん、そっか。大丈夫、誰も見てないから、繋ご」

「うん」


姉さんと手を繋ぐ、ギュッと握れば握り返してくれる

こんな近くに姉さんがいる、探してた姉さんが

俺は嬉しさで胸一杯にして歩いた