9…私の弟、紫音(3)

和士はリビングに居てもらい、部屋には私と紫音だけ


「姉さん、栞…姉さん」

「…」

「なあ、姉さんなんだろ?」

「…前にも言ったはず、私は貴方のお姉さんじゃない」


紫音がポケットからビニール袋を出す


「コレ、病院で…引き出しにあった。

    デイジーって花のネックレス、母さんが着けてた」

「…ネックレスなんて、同じ物はいくらでもある。」

「そうだね。でも、コレは他と違う」


紫音はネックレスを裏返す


「コレはオーダーメイド、後ろにルビーがある。姉さんの力に関係する特別な石が」

「…」

「じゃあ…コレが母さんのじゃないなら、俺が着けてもいいよね?」

「!?…止めて」

「何で?」

「…っ」


言い淀んでる内に紫音が袋から取り出して着けようとする


「!」


私以外が着けたら、ルビーに蓄積されてる私の力で体が傷付くっ…

手を伸ばしても、上に手を伸ばされたら身長差があって届かない

紫音が今にも着けようとする


「ッダメ!!」

 

 

紫音side

ネックレスを着けようとしたら途中で手が動かなくなった

雫を見ると、左目にペンタクルが

つまり、雫の…栞姉さんの力で止められた

やっぱり…姉さんだ


「もう、いいよ。」

「…っ」


姉さんは俯いて、…泣いてる

ネックレスを姉さんに掛ける


「姉さん」

 

姉さんは顔を上げ、力無く微笑む


「紫音」

「姉さんっ!」


姉さんを力一杯に抱き締める


「姉さんっ姉さんっ…姉さんっ!」

「紫音」

「やっぱりっ…やっぱりそうだったんだ!やっとっ!やっと……見つけた!!」

「紫音…」

「ずっと…っ、ずっと探したんだよっ!」

「ゴメンね」


姉さんが俺の背中に手を回してポンポンと優しく叩く


「何で、今まで黙ってたのっ

    最初に会った時に、もしかしてって、でも違うって言われて…!

    それでもっ」

「紫音、今までゴメンね」

「…もういいよ。会えたからっ…会えたんだ!!」


更に強く抱き締め、肩に顔を埋める

姉さんだっ

俺達がずっと探してた


「!」

「?  紫音?」

「蓮はまだ知らないよね」

「?  知らないよ?蓮以外も知らない」

「蓮も俺と一緒に探してたんだ、早く知らせないと」


紫音と一緒に?


「何で?」

「そんなの…蓮は幼馴染だよ?最も、蓮はもう「幼馴染?」」

「姉さん?」

「蓮と…幼馴染?」


蓮は…誘拐される前から、関係してた?


「小さい頃、よく遊んでたじゃん。」

「幼馴染は、楼と和士と…蓮もだったんだ。蓮はどこに住んでたの?」

「隣同士だよ。…あの時も…」

「あの時?」

「姉さんが誘拐される時、騒ぎに気づいて来て姉さんに手を伸ばしてくれた…」

「あの時、私に手を伸ばしてたのは…蓮?」

「あの時の事、覚えてないの?」


蓮は私の幼馴染

やっぱり蓮が…忘れてる記憶

でも、ここまで聞いてても思い出せない


「紫音、もっと詳しく「落ち着いたか?」」


和士が部屋に入ってきた


「落ち着いたけど、もう少し話し「これ以上は駄目だ」…何で」

「力が暴走したばっかだ、今日はもう休め」

「…嫌d「駄目だ」」


何で、何で…


「何で思い出しちゃいけないの!?今までだってそう!

    はぐらかしてっ!何を忘れてるのかさえも分からなかったのに!!

    どうして話してくれないの!?

    どうしt…」


ガクッと体の力が抜ける


「姉さん!?」


紫音が支えてくれたのを最後に意識が途絶えた