9…私の弟、紫音(1)

入院中、皆が来る度に色々と持ってきて、片付けが間に合ってない

紫音は前に私が好きだって言ってた抹茶系のお菓子とか

朔は果物とか、春也はゲームを持ってくる

和士と正は毛布とか暖房具

蓮は本を持ってきて


「これ、前に読んでたろ」


いつの間にって思うけど、続きが気になってたから素直に受け取った

それからも何冊も持ってくる


「これ、オススメなんだ。」


悔しい話、どれも興味を惹かれるモノばかり


「どうだった?」

「……ん、あの〜が面白かった」

「だよな、俺もそこが面白かった。〜がさ、〜して…」


少しだけ、蓮との会話が増えた


今日来てるのは紫音

紫音には《俺》とか口調を直す様言われた

まあ、紫音にならいっか

今回は抹茶の和菓子を持ってきてくれた

なんと手作り


「美味しい、凄いね」

「親戚に色々教わったんだ。茶道の家の息子だから基本の作法は一通り」

「へ〜、私も茶道は一通りは出来るかな」

「雫も?」

「うん。あ、でも小さい頃だったらか今は分かんないな」

「…小さい頃って、いくつの時?」

「もう覚えてない」

「もしかして6「神凪さん、入浴に行きましょう」


今日は週2の入浴日

タイミング良く、看護師さんが来てくれた

看護師さんに手伝ってもらい車椅子に乗る


「紫音、悪いんだけどそこら辺の片付けといてくれる?服とかも棚開けていいから」

「分かった」

「では、動きますね」