18…雫と紫音

それからも、雫の態度は変わらず

…紫音と常にいる


ある日

敵対してる族が乗り込んできた


「白狐!お前等を潰して俺達がトップになってやる!」


幹部室に居た俺等は急いで部屋を出て行く

紫音と雫がまだ中に居る…

咄嗟にドアの前で耳を澄ませる


「こ…ら出…でね」

「…ってる。腕試しには丁度…ね」


腕試し?


「うん。ちゃんと…てね、…さんに成果を…したいから」


ちゃんと、何だ?

誰かに成果を…見せる?


「ん、分かった」


どうやら紫音が、あの一ヶ月でどんだけ強くなったか分かるみてぇだ


「じゃ、行ってくる」


紫音が近づいてくるっ


「蓮?」

「何してる、行くぞ」

「ああ」


俺は相手を殴って潰しては、紫音を見る

やっぱり、今までのやり方とは違う

無駄な動きが無いし、相手が殴り掛かった力を利用して潰したり

他の奴等は目の前の相手を潰すのに必死で、気づいてないが

これは、このやり方は…


数分後、相手を制圧し幹部室に戻る

雫は本を読んでたらしい

俺等を一瞥し、すぐに視線を戻す


「何も聞かねぇのか?」


雫は顔を上げずに


「何を聞く事がある」

「怪我は無いのかとか…」

「あんな族相手に?」

「あんな?」


あんな族相手に?

何も見てないのに、何でそう言える?

雫はそれ以上は喋らなくなった

それからも、雫は紫音には心を開いてる感じだ


数日後

倉庫にいる時、イラつきが限界に来た


「雫以外、外に出ろ」


朔は溜息を吐きながら、?マークの春也と出て行く

紫音は俺と雫を交互に見て躊躇ってる

本を読んでる雫は、紫音を見て


「紫音、大丈夫だから。」

「…分かった」


紫音も出て行き、3人が下に行ったのを確認して雫に近寄る


「雫」

「…」


パラ…

本を捲る音だけ


「おい」


バッと本を取り上げるとやっと雫が顔を上げた


「何」

「紫音とどんな「しつこい、蓮には関係無いと何度も言ってる。本返せ」


本を取り返そうと手を伸ばす雫

だが、雫が立たないと届かないとこまで挙げる


「いい加減にしろ」


雫が立ち上がり、俺の手まで背伸びする

 

 

精一杯背伸びして、本を取り返そうとしたが

蓮がニヤッと笑い、ブンッと手から本を後ろに投げ落とした


「テメッ何してん…」


言葉を言い切る前に、伸ばしてる手を掴まれ

 

「!…っ」


離れようとしたら腰にも手を回され、逃げれなくなった


「言えよ」

「…っ」


そっぽを向き、どう逃げるか考える

すると、顎を捕まれ強引に顔を合わせられる


「そんなに言えねぇのか」

「…」

「…だったら」


蓮の顔が近づき、あと僅かで…

ドンッドンッ


「蓮!黒蛇が攻めて来ました!」

「…ッチ」


蓮は私から離れ


「ここに居ろよ」


バタン

出て行った

惜しい…あと少しで

頭突き出来たのに


「…!……っ!」


下が騒がしくなってきた

ああ、またどっかの族が来てるんだっけ

前は《リモートネスクレヤボヤンス(遠隔透視)》で部屋から見てた

春にも《テレパシー》でリアルタイムで見てもらって、高評価で紫音が喜んでたっけ

 

数分後、勝負がついた

まあ白狐だし…これ位は勝ってもらわないと

下に降りていくと


「おい、部屋にいろと言ったろ」


蓮を無視して紫音に近寄る


「雫、蓮と何話してたの?」

「…話す前に蓮が出て行ったから」

「そっか」

「今日はもう帰ろ」

「あ、あのさ…」

「ん?」

「皆と、もう少し話してみない?」

「…」

「関わりたくないのは分かってる。皆は、大丈夫だから。」

「…」

「俺を信じて」

「…分かった」


蓮と目を合わせ


「紫音が信じてるなら」