12…蓮への隠し事(2)

あ、蓮が近づいてくる

紫音は感情が高ぶって蓮の気配に気づいてない

この状態、私は別に見られてもいいけど、紫音が気まずくなるのかな


「紫音」

「何?」

「ちゃんと雫って呼んでね」

「?  今なら誰にも…あっ!」


ガチャ


「雫と…紫音?」


蓮がドアを開けたまま目を見開いて固まってる

紫音は咄嗟に離れる

蓮は目を細めて眉も寄ってる…なんか機嫌が悪くなってる?

無言で近寄ってくる、その間にも紫音は顔を俯かせ私と距離を取ろうとしてる

紫音には悪いけど、少し揶揄ってやろうか

私は紫音の手首を掴む

ビクッと肩を震わす紫音、ピクッと蓮も反応


「雫、離して」

「何で」

「な、何でって…」


紫音の手をグッと引っ張り、耳に唇を寄せる


「もう、離れないんじゃなかった?」

「そ、それとこれは違「おい」」


私は蓮に振り返る


「何してる」

「別に何も」

「抱き締め合ってたのに、何もだと?」

「分かってんなら、わざわざ聞くな」

「俺が聞きてぇのは、何で抱き締めてたって事だ。紫音…」


ビクッと紫音が肩を震わせる


「雫と何やってたんだ」

「…」

「おい、答えろ紫「蓮に関係あるか?」…あ?」

「俺と紫音が何してようが、関係あんのか?」

「関係あるに決まってんだろ、お前は白狐の姫なんだ。だか「だから?」」

「姫だから、男と無闇に抱き締め合うなってか?

    それは本当の姫に言え、それに俺は蓮の女でもない。

    どこで何をしようが、関係無ぇだろ」

「…」

「これ以上話しても無駄だ」


私は紫音の手を引っ張り、ドアに向かうと肩を掴まれる


「…待ちやがれ」

   

はぁ、メンドくさい


「紫音、先に行ってて」

「…っ」

「大丈夫だから」

「…」


紫音を先に行かせる

蓮に視線を戻せば、ずっと私を見てる

肩を掴んでる手を振り払う


「…で?」

「紫音と、何してたんだ」

「さっきも言った、蓮には関係無い」

「何話してたんだ」

「何だっていいだろ、蓮に報告する義務は無い」

「…なら紫音に聞く」

「紫音に聞いても無駄だ。これ以上、詮索するな」

「…お前は、何も話してくれないんだな」

「いつ居なくなるか分かんねぇのに、話してどうする。

    もう帰る」

「おい、倉庫には「用事がある」」


蓮に関わってれば、記憶が戻るかもしれない

けど、私が関わると同時に、奴等に狙われる危険がある

巻き込ませない為に、こうするしかない

 

 

蓮side

雫は、紫音と何してたんだ

ドアを開けた時、目に映ったのは

泣きそうな表情で雫を抱き締める紫音と、紫音の背中に手を回してる雫

一体、何を…

考えると何か、モヤモヤする