19…打ち解け始める

蓮side

それから、雫は少し変わった


「ゲームやろ!」

「…ん」


春也がゲームに誘い


「雫さん、こういうのは読みますか?」

「うん、読む」


朔とは本の話を

今まで何にも興味を示さなかったが

少しずつ…打ち解けていってる

それに自分の事も『俺』じゃなく『私』って、俺達が散々言って渋々な感じだけど

だが、1つ気になってる事が

雫の笑う顔を見てない

何をしてても無表情のまま


「雫、楽しい?」

「…ん〜」


何をしてても、曖昧な返事しか返ってこない

それに、そういう会話をする度に紫音が悲しそうな表情をしてる


「紫音、お前は雫の何を知ってるんだ」

「…」

「何でそんな悲しそうに雫を見てる」

「ゴメン、蓮。今はまだ話せない」


紫音は雫の元へ行く


「雫、何やってるの」

「今ね…、…」


紫音だけが知る雫

俺は雫を、何も知らない

 

 

7月に入った

私は白狐の偽りの姫を未だにやってる

白狐の皆とは打ち解けて、紫音の知り合いとして倉庫に行ってる

そして、紫音が春に稽古をつけてもらって大分経つ

体力もつき、春の攻撃を躱せる様になってきた

現に前の喧嘩で見せてくれてる

でも、蒼鷹としてはまだ駄目

仕事の時は、春に頼んで稽古を長めにやってもらい、その間に済ましてくる

知れば絶対に着いて行くと言うから


ある時、更生の可能性が無い組を潰した時

帰り際、後ろで組長が叫んだ


「絶対に許さねぇからなっ!お前を見つけ出して殺してやる!!」

「殺す…かぁ」


殺せるもんなら、殺してほしいね


紫音に隠し事ってのは気が重い

そんな時、頼れるのは水沢先生


「先生」

「なんですか?」

「家族に、言えない事はありますか」

「そうですね。家族でも、家族だからこそ言えない事はあります。

     先生は最近、夫が楽しみにとっておいたケーキを食べちゃって

     内緒にしてるんですよ〜」

 

水沢先生と話してると、心が楽になる