11…ただいま

皆にまたねって挨拶して

テロメア(生体コントロール)》で体の機能を最低限に抑え、薬の分析と治療を開始した

力の暴走を抑えながらだから、どうしても分析に時間が掛かる

少しずつ進めてると、ふと…違和感を感じる

…何かの、存在を感じる

どんどん近付いてくる、…どこから

近付いてくるソレは、パシュッ!と目の前に来たと思った瞬間、強く発光した

 

 

蓮side

栞が眠ってからどれだけ経ったか

昨日少し外出してきたから、今日一日は栞と一緒にいる


「今日はずっと、お前の側にいるからな。紫音もその内来るだろ」


栞の頰をそっと撫でる


「早く、戻ってこい」


思った通り、紫音の気配が来る


「開けるよ」

「おう」


紫音は俺の反対側に座り、栞の手をそっと握る


「姉さん、おはよ。…っ!」


紫音が握ってる手をバッと見る

 

「紫音?」

「…今、動いた?」

「!?」


恐る恐る栞の手を握り


「栞?」


ピクッと動く


「栞!」

「姉さん!」


すると

栞が赤い光で覆われ始め、髪が毛先まで金色に変わっていく

体全体にある赤黒い歪な線が消えていき

代わりに浮かび上がるのは、金色の見た事の無い模様

栞の瞼がゆっくり上がる


「「!?」」


赤いのは左目だけの筈が、右目にまで

!!…っつうか、この姿は…!!!

栞を中心に風が舞い始め、栞がフワッと宙に浮く

赤い光がカッ!と一際強くなり、咄嗟に腕で目を庇う

腕を下ろした時には布団に横たわってる

栞の髪は黒に戻り、瞼も閉じてる

金色の模様も無い


「「…」」


紫音と目を合わせ

恐る恐る腰を下ろし、栞の肩を触る


「し、…栞?」

「姉…さん?」


瞼がゆっくりと開く、右目も戻ってる

栞は左右を見渡し


「蓮…、紫音…」

「「栞!(姉さん!)」」


栞は目を瞬き


「私、戻ってる…の?」


栞がムク…と起き上がろうとして背中を支える


「姉さん」


栞が紫音と目を合わせる


「治ってるんだよね?」

「…」


栞は何も言わずに手に赤い光を灯し、額に当て目を閉じる


…数秒後、栞は目を開き


「治ってる」

「! よっしゃぁあっ!!!」


紫音が拳を突き上げる


「皆に知らせてくる!」


バタバタッ!と紫音が廊下を走っていくのを見送り

俺は未だに茫然としてる栞を見る

栞はさっきからずっと考え込んでる様に見える


「…栞」


栞はゆっくりと顔を俺に向け


「ん?」

「おかえり」


栞はフワッと微笑み


「ただいま」


目頭が熱くなる

俺は堪らず、ギュッと抱き締める

栞も抱き締め返してくれる


「ったく、何日も待たせやがって…っ」

「…ゴメンね」


栞は少し離れ、俺の頰を両手で包み込む


「もう、大丈夫」


栞が額を合わせ、鼻先が触れ合う

お互いに微笑む