23…別れ

蓮と元の場所まで戻ってきた

私を抱き締めながら気を失ってる蓮をギュッと抱き締める


「ありがとう、蓮」


でも、


「もう、一緒にはいられない」

 

意識を取り戻し、自分がやった事を認識した

相手がどうであれ、人を…殺した

こんな私が、蓮や皆の側にいちゃいけない

ホントなら今すぐにでも死にたいけど

蓮を無事に家に送り届けないと

それに皆から、私の存在を消さないといけない


蓮の部屋まで《テレポート》し、そっと布団に寝かせる


「蓮、危険な目に合わせて…ごめんなさい。

 私の事は忘れて、幸せに生きて」


蓮の額に手を翳し、私との記憶や存在を全て消す


「会えないのは寂しいけど、蓮の為だから

 最後に…」


キスをして顔を上げると、蓮の顔に涙が落ちる


「…っ、今度こそ本当に、さよなら」

 

立ち上がり


「次はし「俺まで消すの?」」

「!?」

 

廊下に紫音が

紫音の表情は堅い


「ねぇ、俺からも消して、置いてくの?」


紫音から目を逸らす


「…っ、こんな姉はいなくなった方がいい。辛いけど、そうした方が紫音の為なの」

「…俺の為?」

「そう。紫音の為「嫌だ」」


ギュッと抱き締められる


「嫌だ。姉さんと離れるなんて、もう…会えなくなるなんて、絶対に嫌だ」

「…、紫音、私…人を殺した。殺されそうだったから、なんて言い訳にしかならない

 こんな人間が生きてていい訳がないの」

「俺達から記憶を消して、死ぬの?」

「それが、一番良いの」


紫音の目を見て、今度は逸らさない

 

紫音は溜息を吐いて


「前に言ったよね。何があっても絶対に離れないって、何を言われようと…絶対に」

「…」

「俺も連れてくって言わないなら、この場で舌を噛み切って死ぬ」

「!?」

「さあ、どうする?」

「…っ」



紫音side

姉さん、ゴメン

こんな事言って

でも、こうでも言わないと、絶対に一緒に行かせてくれない

蓮や父さん達に忘れられて、会えなくなるのは寂しいけど

それよりも、姉さんの記憶を失って会えなくなるのが一番辛い

何があっても、離れたくない

頼む

 

姉さんは涙を流して


「…分かった。紫音、一緒に行こ」

「ありがと、姉さん」


必要最低限の物を持ち、家を出る

姉さんが桜井家と神崎家に手を向けると家を覆ってる赤い光が発光する


「これで、皆から私達の記憶や存在が消えた」


姉さんは泣くのを我慢して


「行こ」

「…うん」


俺と姉さんは、皆の前から姿を…存在を消して

闇夜に消えた

 

 

蓮side

朝、目覚めて朝ご飯を食べに食卓へ


「おはよう蓮」

「おう」


母さんと親父、兄貴が朝ご飯を食べてる

茶碗を持って食べてると


「あら?蓮、指輪なんてして、彼女でも出来たの?」

「え?」

「ほら、左手の人差し指。普段アクセサリー着けないのに」


母さんに言われて見たら、指輪が

 

「…何だ、コレ」

「何その反応、寝てる間にでも付けられたって言うんじゃないでしょうね?」

「…ご馳走様」

「ちょっと!?全部食べてから行きなさい!!」


部屋に戻り、指輪を外す


「…指輪なんて買ってねぇ」


なら誰に貰った…

悶々と考えてるが、分からねぇ

とりあえず机の引き出しに仕舞って大学の準備をする

家を出ると


「遅ぇよ」


神崎が腕を組んで待ってた


「悪い」

「? 何かあったか?」

「何でだ?」

「いや、何か思いつめた顔してっから」

「何も…、今日の1限目憂鬱だなぁと思って」

「ああ!それな!?」


神崎と大学に行って講義を受け、中庭で駄弁ってる時だ

ポコッ


「痛っ」


神崎の頭に後ろから何かが飛んできた

そのままどっかに飛んでったのは、テニスボール

投げた奴は笑いながら逃げていった


「痛ぇな〜」


神崎が頭を摩る

 

栞がいれば、こんなの止めたのに


「!?」


今俺、何て思った…?

咄嗟に思ってた言葉は、どうやっても思い出せなかった

 

それからも神崎と普通の大学生活を過ごして

月日が過ぎていった