18…脅威

神崎修二side

あれから数日、今日は蓮と別々の講義を受けてる

栞はいつも通り廊下で待機

漸く講義が終わり、背伸びすると


「ようっ」

「! おうっ」


声を掛けてきたのはダチの南雲

体調不良で暫く休んでた


「体はもういいのか?」

「おう!バッチリ!」

「そっか、良かった」

「お前この後暇か?久し振りに話そうぜ?」

「あ〜、時間はあるけど、待たせてる奴がいんだ」

「ソイツと何か約束してんのか?」

「いや、特に何も」

「じゃあ何で待ってんだ?」

「あ〜、俺の付き人だ」

「え?お前そんな偉い立場になってんのかよ!?」

「ま、まぁな」

「ならソイツも混ぜて、どっかで話そうぜ!」

 

南雲と教室を出ると

栞はこっちを見て、目を見開く


「真、コイツは俺の友達の南雲 佑人(ナグモ ユウト)

 南雲、俺の付き人の松本 真だ」

「…」


南雲は栞に近寄り


「南雲だ、よろしく」


栞は無表情で、会釈だけ


「悪いな、気ぃ悪くしないでくれ」

「いや?全然」


奥から蓮が歩いてきた


「さっさと飯にって、誰だ?」

「蓮、コイツは南雲 佑人

 大学入ってからの友達で、最近まで休んでたんだ」

「そうだったのか、俺は桜井 蓮だ」

「南雲、よろしく」


南雲が蓮に握手を求める

蓮も手を出そうとしたら、栞が蓮を背に庇う


「松本?」


蓮が栞に声を掛けるが、栞は南雲をジッと見てる


「俺、嫌われてちゃってる?」

「松本は人見知りがあって、悪いな

 さて、飯食うかっ」

 

 

蓮side

神崎が南雲と歩いて行く

俺は栞の肩を掴み


「栞、どうした?」

「…」


栞の目は南雲から外れない


「…蓮」


漸く栞がチラッと俺を見る


「南雲には近寄るな」

「…危険な奴なのか」


手をグッと握り締めてる


「…大丈夫」


何かを決断した目を俺に向け


「二人は、俺が護る。…例え、」

「…え」


栞は神崎と南雲を追い掛けていく

今、…何つった

 

 

神崎さんが教室から出てくると一緒に出てきた男

見た目は知らない男だが、私に向けてくる視線…

思わず目を見開く

何で


「真、コイツは俺の友達の南雲 佑人

 南雲、俺の付き人の松本 真だ」

「…」


南雲は私に近寄り


「南雲だ、よろしく」


何で…コイツが

動揺を悟られない様に会釈だけ返す


「悪いな、気ぃ悪くしないでくれ」

「いや?全然」


後ろから蓮が歩いてきた


「さっさと飯にって、誰だ?」

「蓮、コイツは南雲 佑人

 大学入ってからの友達で、最近まで休んでたんだ」

「そうだったのか、俺は桜井 蓮だ」

「南雲、よろしく」


南雲が蓮に握手を求める

蓮も手を出そうとしたのを見て、背に庇う


「松本?」

「俺、嫌われてちゃってる?」

「松本は人見知りで、悪いな

 さて、飯食うかっ」

 

神崎さんが南雲と歩いて行く

蓮に肩を掴まれるが、南雲からは目を外さない


「栞、どうした?」

「…」


何で、ここ(日本)にいる


「…蓮」


南雲を警戒しながら、蓮に目を向け


「南雲には近寄るな」

「…危険な奴なのか」


手をグッと握り締める

大丈夫…


「…大丈夫」


蓮に目を向け


「二人は、俺が護る。…例え、」

「…え」

 

二人は絶対に護る

例え…殺されると分かってても

 

数日

南雲は何もせずに、神崎さんの友達として接してきてる

でもある日、動き出した


神崎さんと蓮が別々の講義を受けてる時

廊下にいると、南雲が近付いてきた


「お疲れ様、修二の付き人さん」

「…」

「1時間も廊下に居て、疲れるでしょ?」

「…」

「数日一緒にいても打ち解けてくれないかぁ

 まぁでも…」


南雲は私の目の前まで来て


「そろそろ、昔の様になってくれてもいいと思うんだがなぁ?」

「…」

「なあ?栞、俺の…可愛い妹」

「…っ」

「クククッ、思い出すなぁ。あの頃を

 沢山可愛がって遊んでやったよなぁ?」

 

脳裏に浮かぶ

コイツは、私が傷を治せると知ってから

私を見つけては、遊びと称して…力を使った暴力を散々してきた

時に鋭利な物で切り付けてきたり

サイコキネシス》を使ってないと、今にでも震えて崩れ落ちる

    

「日本にきて、ある奴と組んでお前と接触する為にアイツのダチを利用したんだ

 丁度大学を休んでる奴がいて良かったよ

 俺なら、姿や声をどうとでも変えられる」


南雲は、楽しげに狂気の目で


「またお前を可愛がってやる、今度は本当に死ぬまで遊んでやるよ」


南雲は私の髪を掴んで引き寄せる


「…っ」

「アイツ等は人質だ

 手ぇ出されたくなかったら、抵抗するな

 どんだけ傷付いても治せんだから、バレなくていいだろ?

   お前さえ黙ってればいい」

「…」

「でも、お前が俺の機嫌を損ねたら、どうなるか分かんねぇな?」

 せいぜい俺の機嫌を損ねんなよ?」

「…っ」


南雲は去って行く

 

「…っはぁ」

 

ガクガクと、力では抑えきれない体の震え

思わず壁に寄り掛かる

南雲…いや、シュウ

アイツは鴉間に似てる、いや…似過ぎてる


『せいぜい俺の機嫌を損ねない様になぁ!』


「同じ言葉を…っ」


ギリッと歯を噛み締める

アイツなんかに、2人は傷付けさせない…っ