2…昼休み(2)

蓮side

俺が寝てる間、栞はいつも本を読んでる


「栞」

「ん?まだ寝てていいよ?」

「…」


返事があっても、意識は本だ

だから、俺に向けさせてやる


「栞」

「ん?」


頭をグイッと俺に向かせてキスする

未だに不意打ちはダメだから顔を赤くして、そっぽを向く

その反応に笑ってしまうのは毎度の事


「いい加減、慣れろよ」

「…………ムリ」

「あん時は自分からしてくれたのになぁ」

「あの時?」


腰に手を回せば、ビクッと固まる

いつまで経っても慣れない可愛らしさがあり

同時に、もっと色んな反応を見てみたい興味も湧き上がる

 

「お前がまた、いなくなった時」

「…」


思い出したくねぇ事だが、初めてのキスは忘れねぇ


「あの時は、」

「ん?」

「その…蓮といられるのが、最後だと、思った…から」

「…」

「記憶が戻って、…自分の気持ちが、分かった、から…」


自分の気持ち…

俺に対しての

 

「栞」

「…何?」

「今、その自分の気持ち、言え」


聞かせてくれ

栞が俯くから顎を掴み、目を合わさせる


「れ、蓮…」

「なぁ、言えよ」


頼む、言ってくれ

視線を逸らされるが、させるか


「逸らすな。俺の目を見て…言え」


何度でも聞きたい

お前の口から、俺への想いを…

栞はゆっくりと俺の目を見て


「…好き」


気づいたらキスしてた

服の裾を掴む栞の手

少し離れながら、自然に口角が上がるのを感じる

頰をスル…と撫で


「栞、好きだ。…好きだ」


優しく抱き締めると


「うん。私も、蓮が好き」


栞の手が背中に回る

今この瞬間が、何よりも愛おしい