2…昼休み(1)

昼ご飯は大学内にあるカフェの個室で、私が作った弁当を食べる

 

蓮はすぐに完食し、私が食べ終わると隣に来て、私の膝を枕にして寝る


「栞」

「ん?まだ寝てていいよ?」

「…」


いつもは休憩時間が終わる直前まで寝てるけど

蓮はムク…と起き上がる


「栞」


視線は本に向けたまま


「ん?」


すると頭の向きをグイッと蓮の方に変えられ、気付けばキスされてる

少し離れて目を合わせれば、ニヤッと悪戯が成功した表情

恥ずかしくて、そっぽを向く

クスクスと笑ってるのが聞こえ


「いい加減、慣れろよ」

「…………ムリ」

「あん時は自分からしてくれたのになぁ」

「あの時?」


蓮が私の腰に手を回す

ビクッと固まってると、グッと力を込められて


「お前がまた、いなくなった時」

「…」


あれは…


「あの時は、」

「ん?」

「 っ…」


耳元で喋るの、止めてほしい


「その…蓮といられるのが、最後だと、思った…から」

「…」


腕、いや…蓮の体が一瞬、強張った気がする

 

「記憶が戻って、…自分の気持ちが、分かった、から…」

「…」

「…」

「栞」

「…何?」

「今、その自分の気持ち、言え」

「…」


目を瞬き、俯く

いきなり言われても…

すると、顎を掴まれクイッと蓮に向かされる

抱き締められてるから、鼻同士がくっつきそう


「れ、蓮…」

「なぁ、言えよ」

「っ…、」


せめて、視線だけを逸らすと


「逸らすな。俺の目を見て…言え」


命令口調でも、声色に優しさがあって

ゆっくりと視線を戻し


「…好き」


瞬間、唇に優しく押し当てられる蓮の唇

目蓋を下ろし、蓮の服の裾を掴む

唇が離れる感覚で目を開ければ、優しい表情で見つめられてて、ドキッとしてしまう

頰をスル…と撫でられ


「栞、好きだ。…好きだ」


フワッと抱き締められ


「うん。私も、蓮が好き」


蓮の背に手を回す