囚われの姫 2

1…大学

鴉間が捕まり、あれから数年

紫音は受験生になり、蓮は大学生に進学し、私も一緒の大学に行ってる

でも勉強してる訳じゃない

蓮の…桜井コーポレーションの社長の息子の《付き人》をしてる

その大学は大企業や財閥の後継とかが通うとこで、生徒の半数以上に付き人がいる

本当ならお父さんが決めた付き人が行く筈だった

 

終業のチャイムが鳴り、沢山の講義生が出てくる

私は講義室のドアから死角になる壁に凭れ掛かって、蓮を待つ

蓮が講義室を出ると、女子が声を掛けたそうにしてるも足早に私のとこに


「お疲れ」

「おう、昼飯行くか」


今となっては日常会話

最初は待機部屋に居ろって言われたけど、他人と同じ空間に居るのが嫌で廊下で待ってた


『部屋で待ってろっつったろ』

『………無理』


訳を言えば、顔を顰めつつも納得してくれた

 

蓮の隣を歩き、チラッと振り返れば女子達の視線が未だにある

蓮は入学早々《高嶺の花》的存在になってる様で

そんな蓮の側にいる私は、高校の頃と変わらない視線を向けられてる

ならいっその事、また男装すればと思ったけど

大学へ提出した登録書に女と記載してるから

よっぽどの理由が無い限り、見た目で性別を偽るのは禁止されてる

高校の頃と同じ状況になるのは目に見えてたから

付き人になれって言われた時は、ずっと断り続けたけど


『栞が付き人にならねぇなら、大学には行かねぇ』


そんな事を言うもんだから、お父さんやお母さんに頼まれて仕方なく…

 

大学に進学したものの、そもそも蓮は何も継ぐ必要が無い

次男だから、そんなのは関係無く

お父さんは普通に現役だし、楼が桜井家や組…全てを継いでる

だから何でそんな大学に行ってるのか

蓮は今の大学ともう1つを受験し、どっちもトップで合格した

双方で違ったのは、付き人の学費も全額免除されるかだった

しかも、付き人が決して子供だけではないから申請すれば講義を受けなくてもいい

《Attendant(付き人)》とネームプレートで区別がつく様にもなってる

 

大学では、危惧してた嫌がらせとかは一切無い

視線だけは思いっきりあるけど、それだけだ