43…殺戮人形(2)

蓮side

とある倉庫

酒向と内通者の情報を頼りにここまで来た

いるのは俺と紫音と兄貴


「おい兄貴、和士さんや今井は?」

「アイツ等は別件だ」

「ここ以上に大事なとこがあるかよ」

「後に分かる」


物影で様子を見ると、大神組と龍田組が対峙してる

辺りを見渡すが、栞は居ない

すると肩を叩かれ、振り向けば紫音が上を指差し


「姉さんは仕事をする時、上から状況を見てる。

    今は分かんないけど、だから中を見ても無駄かも」


俺は紫音にだけ聞こえる声で


「流石、蒼鷹…だな?」

「…蓮にその名を呼ばれるなんてね」

「抗争が始まったら、それに紛れて栞を探す。俺が合図するまでは動くな」

「「了解」」


龍田組と敵対してる大神組は桜井組とも関わりがある(辛うじて)

気付かれても、加勢に来たと思わせとけばいい


「ハハハッ!抗争するって状況で、龍田組はその数しかいねぇのか!!

    こりゃ決まったな!」


大神組のトップが勝利を確信し笑ってる中、龍組のトップはニヤッと口角を上げる

大神は笑うのを止め


「何だ、その顔は」

「勝ちを確信してるから笑ってるだけだ」

「何だと…、その人数で勝てると思ってんのか!!」

「ああ、そうだとも。最も、俺達は何もしない」

「…何を言ってる」

「この抗争は、ある奴に全てやらせろと言われててね」

「ある奴?」

「俺の組の裏にいるのが誰かは知ってるな?」

「……あの鴉間だろ。…まさか!?」

「流石、汚い事をしてる組は察しが良い。そうだ、あの…人形だ」

「あのっ…人形が、来てるっていうのか!?」

「早速呼ぼうか?」


龍田がパンッと手を叩いた瞬間、影からフードを被った奴が現れる

大神組が慌て始める


「コ…コイツが、あの…」


俺と紫音は思わず飛び出しそうになるが兄貴に止められる


「待て、まだ動くな」

「何でだよ!」

「今出てっても、抗争に巻き込まれるだけだ。栞を見失う可能性がある」

「…っ、くそっ」


栞が龍田の隣まで来る


「コイツが人形?俺等を騙してるだけじゃねぇか?」


大神が必死に虚勢を張る


「なら、暴れさせようか」

「!?  ま…待てっ!」

「やれ」