40…護衛再開、最後の機会(3)

「な〜んか色々と来ちゃったわね。さっさと仕事を終わらせましょうか」


女が気絶した奴に手を向けると

ソイツは女の姿から一変、男になり栞に向かって襲い掛かる

栞は男を見ず、手を向けただけ

それだけで男はピタッと動かなくなり、そのまま後ろに倒れた


「《テロメア(生体コントロール)》あるいは《サイコキネシス(念動)》で

    麻痺させたわね。

    やっぱり、力が使えるまんまじゃ。人形は捕まえれないか」

「人形?」

「黙れ」

 

栞の雰囲気が変わる


「聞いてないのね。そうよ?その女はマスターの人形「黙れ」」

「マスターの命令は絶対に従い、何の躊躇も無しに「黙れ…っ」」

「沢山の人を殺してきたの「黙れーーーー!!!」」

「私やマスターはこう呼んでるわ。殺戮人形ってね」


栞の過去

沢山の人を、命を奪ってきた

それが、お前の闇


「ソイツは何の躊躇も無く、淡々と人を殺してきた。

    何の罪も無い人達を沢山よ?

    マスターから逃げたって、アンタがしてきた事は変わらない。

    現に今でも、そこで人を殺してるんでしょ?

    何かしら言い訳してね」

「!?…なっ」

「あら、知らなかった?

    都合の悪い事は話してないのね

    綺麗な自分だけを見てほしかったの?

    いや、アンタに綺麗なとこなんて無いわ

    アンタなんか…人に関わろうとする事自体、許されないのよ?

    この…殺戮人形が」


栞はゆっくりと俺に振り向く

俺は、何て声を掛ければいいのか分からずに俯いた

 

それが、いけなかったんだ


「ありがとうね!坊や!!」


女が栞に手を向けた瞬間


「!?  うぁっ…!」

「栞!?」


栞が肩を抑え、苦しみだした


「「栞(姉さん)!?」」


兄貴や紫音が栞に近づこうと走り出す


「邪魔よ」


シールドで行く手を阻まれる


「くそっ!栞!!」

「姉さんっ!!」

「栞っ!!」


女はゆっくりと栞に近づく


「栞に近づくんじゃねぇ!」

「人形の事を知っても、まだそんな事が言えるのね。

    そうだ、良い事思い付いたわ」


女は栞の目の前に座る


「ねぇ」

「…っう…くっ…!」

「今なら、あのレンって坊やを護ってるシールドは簡単に壊せる。

    何故なら、私がアンタの力を持ってて、力を使えない様にしたのも私だから」

「!?…やっぱり、お前が…!」

「そう。アンタから奪った力のお蔭で、マスターの傍にいれる。

    感謝してるのよ?

    これから、全部の力を奪ってあげる。

    そして、坊やの記憶も戻してあげるわ?」

「!?  テメェが栞の記憶を!?」

「そうよ?」


女が栞の頭を掴むと赤い光が溢れ


「うぁ…いや…ぁああああああああ!!!!」

「栞!!」

「あの時も、こんな感じだったわね〜。

    捕まえてからずっとレン、レンって煩かったから

    力を奪うついでに、坊やの記憶も消して忘れさせてあげたの」

「!?」

「泣き叫びながら、ずっと坊やを呼んでたわ。レン、助けてって」

「!!  テメェッ!!!」

「そこまでにしろ」