43…殺戮人形(3)

龍田が合図した直後、栞は消えた

《テレポート》か!?


「!?  ど、どこに「ぐあっ!」」


大神組の後ろ側で叫び声が


「後ろ!?  どうやって!?」


大神が困惑する間にも、次々と組員が倒れてく

数秒後、立ってるのは大神1人だけ


「く…くそがぁっ!」


大神が懐から出したのは銃


「「「!?」」」

「栞!!」


飛び出しそうになるのを、今度が紫音が


「何で止めんだ!」

「姉さんなら、大丈夫」

「はあ!?」

「姉さんには、何も効かない」


ガチャッと銃のロックを解除した音


「それ以上、動くな…!撃つぞ!!」


銃を持つ手は震えてる

栞は動かない


「おい、何してる。さっさと始末しろ」


栞が大神に向かって走り出す、風でフードが取れる


「く、来るなぁ!!!」


パンッ!


「がっ…」


銃声が響いた後、大神が前に倒れた


「俺は始末しろと言ったはずだ。組員も…全員殺せ」


栞は何も言わず、倒れてる大神組員に向かって手を向ける

手が赤く光り始めた

今度こそ飛び出す


「止めろ!!」

「!?  誰だお前」

「ソイツを返してもらいに来た」

「…どこの奴か知らねぇが。おい」


龍田が部下に命令し、部下が銃口を俺に向ける

マジかっ!

バンッと銃声が響く

目を瞑ってたが、痛みは無い

恐る恐る目を開ける

…外れた?


「おい、ちゃんと狙え。今度こそ殺せ!」


ハッとした時には遅く、バンッとまた銃声が

でも、また…俺には当たってない

もしかして

栞を見ると、目だけ俺を見てる


「この役立たず!何をしてる!」

「いや組長っ、ちゃんと狙ってますよ!」

「貸せ!」


龍田が部下から銃を奪い取り、俺に向ける


「じゃあな小僧」


バンッと銃声が響く

やっぱり、当たらない

3度目で確信した、栞が俺を護ってる


「くそっ!こうなったら、おい!お前がコイツを殺れ!」


今まで動かなかった栞が、龍田に手を向け


「その命令は受けない」

「何を…がっ」


…え?

栞が龍田に手を向けたら龍田は血を吐き後ろに倒れた

テロメア(生体コントロール)》か?

いや、それよりも

栞が、人を殺したのか?


「組長?  組長!?」


組員が龍田を呼ぶが、反応しない


「テメェ!何しやがる!!」


組員の1人が栞に向かって走るが、途中で胸を抑え


「うっ!…が…」


血を吐いて倒れた


「な、何で…」


組員が声を震わし、栞に問う


「鴉間様からの命令は元から、どっちも潰す事だった。」

「何でだ!何で俺等が潰されないといけねぇ!?鴉間には何も歯向かってない!!」

「鴉間様から伝言だ。『お前等の役目は終わった』」

「ふざけんなよっコラァッ!!!」


組員全員が栞に襲い掛かるが


「ああ。そういえば…こんな事も言ってたな。」

「うっ!頭が…痛てぇ!」

「や、止め…て…くれぇ!」


次々と組員が頭を抑え、跪く

栞は俺を見て


「2つの組以外の奴が来るから、見せしめに苦しませてから殺せと」

「!?  止めろ!!!」

「ぐあぁああああああああ!!」


全員が目や耳から血を出して、動かなくなった

テロメア》…いや、《サイコキネシス》か?


「蓮!栞!」


後ろから紫音や兄貴が来る


「姉さん!」

「…」


呼び掛けに反応しない


「栞、帰るぞ?」


1歩、1歩…ゆっくり近く

あと少しで、手が届く

その時だ