3…体、心の傷(4)

蓮side


「栞…」


改めて栞を見れば、頰に痛々しい傷が、制服も汚れてる


「すまねぇ…っ」


ギュッと抱き締める


「後始末は僕達でやっておきます」


朔が下っ端に指示を出す、春也も


「悪い、頼む」

「任せろ!」


俺は栞を抱え上げる

 

家に帰ると、玄関先で組員が慌て出す

親父が駆け付け、ボロボロの栞を見て怒りを露わに


「何処のどいつだ」

「宮園と黒邪っつう族だ。族は白狐で始末した、宮園は「そっちは任せろ」」

「「え?」」

「宮園グループは元々近い内に堕とす予定だったんだ

 前は慈悲で条件付きで済ませたが…

 俺の娘に二度も手ぇ出したんだ、もう容赦しねぇ」


親父が栞の頭を撫でる


「痛かったろ、…頑張ったな」

 

部屋に入ると母さんが給仕の人と救急箱を持って来た


「アンタ達は廊下で待ってなさい」

 

 

数分後


「入っていいわよ」


襖を開け、栞の側に

母さんは栞の頭を撫で


「こんなになって、…痛かったわね」


栞の体は、至るとこにガーゼで処置されてる

母さんは汚れた制服と救急箱を持って立ち上がり


「治せるのは外側だけよ

 内側の…心の傷は、なかなか治せない

 それを支えて、癒してあげるのがアンタ達の役目」

「「…ああ」」


母さんが出ていき、栞の手を握ってると


「姉さん、ゴメンね」


紫音が泣きそうな表情で栞を見てる


「女の子に、こんな傷…」


ガーゼで覆われてる頰をそっと触る

足首の火傷もそうだが、頬にこんな切り傷

栞なら傷は消せる、痕も残らない

けど、そういう事じゃない

体の傷が治せても…心に負った傷は、すぐには治らない


「栞、お前をもう危険な目には合わせねぇ

 何があっても、ぜってぇに1人にはさせねぇからな」


ーーーー

 

栞はあんな目に合ってても平然としてて、鷹の仕事も休まねぇ

でも…心が傷付いてねぇ訳がねぇんだ

俺が側にいれば、あんな事にはならなかった

二度と栞を一人にさせねぇ

だから、大学の付き人を無理矢理頼んだ…栞を護る為に