45…鴉間

突然聞こえた声、この声は


「お前は、鴉間!」

「よお、桜井楼に弟の蓮、そして栞の弟…紫音」


蓮は姉さんをギュッと抱き締め、鴉間から護る


「鴉間、お前は栞を誘拐し力を奪って自分のモノにした。

    力は手に入ったんだ、何故栞を解放しない」

「物にはいつか寿命が来るだろう?

    俺が手に入れた力もそうだ、奪っただけではいつか尽きる。

    なら、ストックを持っておくのは当たり前だろ」

「…っ!っざけんな!栞は物じゃねぇ!お前の私利私欲の道具じゃねぇんだ!」

「そいつは物、俺の人形だ。俺の物をどう使おうが関係無いだろ

    今まではそこの女が使えていたが、そろそろ飽きてきた」


鴉間が気絶してる女に手を向ける


「…うっ…ぐっ!?」


女が赤い光に包まれ苦しみ始める


「一体…何故っ!マス…ターッ…!」

「所詮お前はコピー、出来損ないだ。現に弱ってる人形にすらその様

    お前は用済みだ、消えろ」

「そんな…私は、マスターの…為にっ!今までっ…!あぁああああああ!!」


パンッと光が弾け、女も消えた


「一体…何を…」

「存在を消滅させた、それだけだ」

「テメェの仲間だろうがぁ!」

「仲間?ッハ、あんな出来損ないが?笑わせるな。

    アレも俺の物に過ぎなかった、使えなくなった物は捨てる」

「…鴉…間…」

「栞?」

「姉さん?」

 

 

蓮side

俺の腕の中にいる栞が息を切らしながら、立ち上がろうとする


「栞、無理だ」

「姉さんっ」

「お…願…い…」


フラつく栞を支え、何とか立たせる


「理子を、消したのか」

「リコ?…ああ、そんな名前だったか。消したが、それがどうした」

「名前すら…、アイツは、お前の傍に居たくて、必死だったんだぞ」

「知るかそんな事。あんな出来損ないを使ってやってたんだ

   感謝してほしいくらいだな」

「…許さ…ない、お前だけはっ!!!」


栞が俺と紫音を振り切って走り出す

 

 

鴉間を《テロメア(生体コントロール)》で体の動きを止める!


「ふん、俺にはお前の治癒関連の力がある。そんなもん効かん」


なら


「…うっ!?」


サイコキネシス(念動)》で脳を揺らし、脳震盪を引き起こす

鴉間が頭を抱えた瞬間《テレポート》で背後に移動し、首を狙う


「脳震盪を引き起こさせるつもりだったか?」

「!?」


首に伸ばした手を掴まれ


「人の思考は読み取ってきたが、自分を探られた事は無いだろう?」


サイコメトリー(接触感応)》!?


「記憶は全部戻ったか。…あの男、お前にとってどれだけ大事だ?」

「!?」

「俺はいつでも男を殺せる。どうする?俺の元に戻るか?

    そうすれば、あの男には手出しはしないでやろう」

「…っ!誰がお前のところへなんか!!」

「そんな態度を取っていいのか?」

「!」

「何故、俺に反抗の意思がありながらこうやって動けてると思う?

    普段なら体に激痛が走るのに

    今まさに俺がコントロールしてるに決まってるだろ」

「!?  あぁあああああああ!!!」

「栞!!!」


体に激痛が走り、地面に横たわる


「俺の物のくせに、逆らうからだ。さあ、俺の元に戻れ」

「うぅっ…誰がっ…!」

「栞!」


蓮が駆け寄り、ギュッと抱き締められる