43…殺戮人形(1)

感情が無くても力で操られてても、最初は抗った

でも、以前には無かった枷が、私に牙を向く

指示通り動かないと、仕込まれた枷で体に激痛が走る

最初の仕事で標的を逃がそうとした時、体中に激痛が走った

あまりの痛さに意識が遠のき、気が付けば足元に標的が

もう…どう足掻いても、鴉間からは逃げれない

 

何回目かの仕事を終え戻った時

その時は蓮に会いたい…そう、思ってた

トボトボと歩いてると目の前にドアに背凭れ、私を見る女…理子


『アンタ、まだあの坊やに会いたいと思ってるでしょ?』


私が返事しなくても、この女はペラペラと喋る


『アンタが、坊やに会えると思ってる?今のアンタが』

『…』

『ここに戻ってきてから、どれだけの人間を殺してきたと思ってるの?

    私が感情を消してあげたお蔭で、何の躊躇も無く殺してるアンタが

    手や顔、体に付いた返り血を見ても、何も思わないでしょ?

    後悔も…罪悪感も

    そういえば坊や、アンタの過去を聞いたら目を合わせなかったわね』

『…っ』

『最後の挨拶に何話してたか知らないけど。

    坊やはアンタを受け入れてくれるのかしらね?

    アンタみたいな…殺戮人形を』


そうだ

私は、穢れてる

こんな私が蓮の側になんて…いちゃいけない、望んでじゃいけないんだ

もう…誰の側にも


ーー鎖が解け、自由になりかけた鳥

       手を差し伸べてくれる皆の元へ行き

       共に羽ばたこうとした瞬間、恐れていた闇に再び囚われた

       鳥は自由を捨て、皆が闇に囚われない様に

       自ら闇へと堕ちていったーー


「時間だ」

「はい」

「念の為、お前も一緒に行け。」

「はい、マスター」

「今日潰すとこには恐らく…」