53…未来へ(完)

蓮が何で怒ってるのかが分からない


「姉さん」

「紫音?」

「俺達がどれだけ心配したか…分かってる?」


今にも泣きそうな表情の紫音


「怪我したら、最悪…死ぬんだ。姉さんだって同じだよ?」

「私は、簡単には死なないよ」

「栞」


蓮が私をギュッと抱き締める


「自分を大事にしろって、言ったろ。

    お前の命は、お前一人だけのもんじゃねぇんだ。

    お前に何かあれば、悲しむ人間がいる

    栞、お前はもう1人じゃねぇんだ」


自分の命を、大事にする…考えた事無かった

今まで自分なんて、どうなろうが…


「私なんて、どうでもいい」

「「…は?」」

「いつ死んでもいい。いっその事、殺してって。そう思って生きてきた」

「「…」」

「でもこれからは、紫音や…蓮の側で生きると決めた。…から」


蓮と紫音を見る


「だから、これからは…心配掛けない様に、努力…する」

「「…」」

「ダメ?」


蓮と紫音は顔を見合わせ、苦笑する


「まあ、考え直してくれてるだけでも、いっか」

「まだ安心出来ねぇが。俺がいつも側にいるし、仕事では紫音がいる。

    お前が無茶しねぇ様に、ずっと見張ってやる」

 

 

…そう

私はもう、一人じゃない

側にいてくれる人が、やっと思い出せた大切な人がいる


ーー鳥は光の下で

       共に羽ばたけると信頼する鳥達と

       翼を広げるーー


闇の中ではなく、光の世界で大切な人と生きると…自分で決めた


私はもう、自由なんだ

これからは何処へでも行ける

 


命ある限り…私は、生きる!