42…囚われの姫

1週間後の夜


「仕事だ。この組を潰しに行け」

「はい」


前と同じだ、足に鎖を付けられてアイツに呼ばれる時以外は出られない

窓があったのに、コンクリートか何かで塞がれ

ドアを閉めてしまえば、辺りは闇だ

陽の光が無いから、時間感覚が無くなり、あれからどれくらい経ったのか分からない

辛い…、悲しい感情は無い…けど


『マスターには感情を消す様言われたけど、あの坊やを想う感情は残してあげる

    もう二度と《人間》としては会えないんだから、可哀想にねぇ?

     届かない想いを一生持ち続ける哀れな人形、アンタにはピッタリねぇ』


「蓮…」


記憶がある、蓮の記憶が

前だったら、ただ自由を願うだけだった…でも今は


「蓮…」


蓮を想う感情がある

あの時、手を伸ばしてくれたのは蓮

また、手を伸ばして助けようとしてくれた

やっと記憶が戻って、お互いの気持ちを知ったのに…

 

蓮ともっと一緒にいたかった

 

でも、ここに戻ってきてから既に人を…命を奪ってる


『マスターの人形なんだから、アンタは黙ってマスターの言う事を聞いとけばいいの

    …本当だったら、力を全部奪って殺してやりたいわ

    そうすれば、マスターは私を見てくれる!』

    

もう皆のところへ…

蓮に会えないなら、いっその事殺してほしい

目の前で命乞いされても、何も思わず、躊躇わずに命を奪う私を