39…片想い?両想い?

紫音が静かに部屋を出る

ありがとな

栞は俯いて、泣いてる


「蓮…」

「何だ」

「私には、蓮の記憶が無い。思い出そうとしてるけど、結局何も…

    蓮が私を大切に思ってくれてるのは分かってる…けど

    今の私は、貴方に応えれない…応えちゃいけない」

「…」

「一緒にいても、蓮が辛くなるだけ。だったら私は、蓮の前から消え「ざけんじゃねぇ」」

「前にも同じ様な事を聞いたな、いつか俺の前から消えるって」

「…それが、蓮の為だか「俺の為?」

「勝手に決めてんじゃねぇよ。俺の為に消える?…っざけんじゃねぇよ!!」

「…っ」

「俺にとっての幸せは、お前が側にいる事だ。例え記憶が無くてもな」


栞が顔を上げて、俺を見る


「やっと見つけたんだぞ、目の前でいなくなった幼馴染が…今目の前にいんだ。」

「で…でも、私といると危険「上等だ」」

「お前がいなかった時の感情に比べたら…

    お前と一緒にいて危ねぇ目に合ってた方がマシだ」

「…蓮」

「前にも言ったよな?いい加減諦めろ」

「…」

「何があっても、お前は俺が護る。俺がずっと、側にいるから」

「もし…もし、離れちゃったら?」

「心配すんな。離れ離れになっても、絶対に見つけるから」


また俯こうとしてるのを顎を掴んで上げる

上げた拍子に、涙が零れ落ちる


「お前に言いたい事があんだよ、前は遮られたけどな。栞、俺はお前が」


また、止められた

今度は栞の手で

栞は泣きながら顔を横に振り


「今は、その言葉は聞けない。言ったでしょ、今の私じゃ応えられないって」


栞の手が離れる


「私の記憶が戻った時、もう一度言ってくれる?

    その時は、ちゃんと最後まで聞いて…応えるから」

「……分かった」


俺は栞をギュッと抱き締め


「そん時は、覚悟しとけよ」

「…ん」


私の記憶が戻った時

それは、蓮との本当の再会であり、最後の再会だった