31…鷹と蓮(2)

部屋を出て、自室に向かってると


「おいっ」


後ろから蓮が


「テメェに聞きたい事がある」


蓮を無視して歩くと

ガシッ


「待て」


手首を掴まれた


「俺の質問に答えるまで離さなねぇ」


毎度毎度、メンドくさ


「俺を狙う奴を、どんな奴か知ってんのか」

「(コク)」

「お前にしか、対処出来ねぇのか」

「(コク)」

「どんな奴等なんだよ」


顔を横に振れば


「知らなくていいってか、俺が狙われてるっつうのに…」


自分の事なのに、蚊帳の外な感じか

…しょうがない


「お前は…普段通りでいい」

「あ?」

「奴等は俺が始末する。

    お前が気付かない内にな、だから情報を持っても意味が無い。

    知らなくていいってのは、そういう事だ」

「…さっきのといい、お前は何だ。

    どうやったって、瞬きの一瞬だけで移動出来る奴なんているはずねぇ」

「だが、実際やって見せただろ。もういいか」

「もう1つ」

「…まだあるのか」

「お前、女か?」

「………は?」


蓮は掴んでる私の手首を見て


「この細い腕…。

    護衛をするなら自然と男だと思ってたが、この細さは…」


……デジャヴ


「……失礼な奴だな、離せ」


無理矢理手を振り払い、部屋へ戻る

 

 

蓮side

鷹が立ち去った後、俺は鷹の腕を掴んだ手を見る


「あの細さ、アイツに似てる…」

 

 

家に戻ると


「おかえりなさい」


紫音がホッと安心した表情で迎えてくれた


「ただいま」

「姉さん…俺からも条件考えた」

「……何」

「1日の護衛が終わった後、どんなに遅い時間でもいいから顔を見せて。

    姉さんが俺のとこに帰ってきて安心出来るのと同じ

    俺にも姉さんが無事に帰ってきたって、安心させて」

「分かった」


紫音は私を引き寄せ、ギュッと抱き締める

私も紫音の背中に手を回す


「無茶、しないでね」

「する前に終わらせる」

「頼もしい返事」