ドラゴン(9)

一方…


「クソッ…!クソッ!

 アイツ等!俺を裏切りやがってっ!!」


アルは誰も居ない、光の届かない場所で

1人、呪いに苦しんでいる


「あの女っ…、絶対に許さないっ!

 もっとっ…!もっと力が欲しいっ!!」

〔おいガキ〕


どこからか声が聞こえ

アルから黒い霧が出てきて、次第に人型になる


「お前っ…!なに力負けしてんだよ!」

〔ガキが、お前はアレだけが俺様の全力だと思ってんのか?〕

「あ!?」

〔アレはお前が今使える俺様の力だ

 要は俺様の力を使いこなせてないから、あんなのしか出せなかったんだよ

 あ〜あ、良い感じに負の感情に塗れた人間を見つけたと思ったのに…

 折角俺様が手を貸してやってるのになぁ?〕

「…っ…!」


手をギュッと握る


〔なあ?アイツ等はジュノ国の民だったな?〕

「それがどうした!?」

〔まあまあ聞けって

 確か今、王位継承者は国を離れてるなぁ

 なあ、知ってるか?〕


ソレはアルに顔を近づけ、ニヤァと笑顔を見せる


〔俺様ともなれば、神獣や精霊の魂を食っちまったり、殺せるんだよ

 本来精霊の魂は精霊界に戻り、草木に戻る

 神獣も同じ様なもんだ

 だが、俺様が食っちまったらそれは叶わねぇ

 一生苦痛を味わい続けるんだ

 それは人間も変わらねぇ

 そこでだ

 奴等に絶望を見せて、苦痛を味わわせてから殺すんだったら

 良い方法があるぜ?〕

「…、何だよ」

〔それはな?〕