ドラゴン(10)

ゼルファが家族になって数日

あれからゼルファは基本人型で生活してるけど

たまにラルフみたいに小型サイズ…子竜になって肩…じゃなくて頭に乗る

命を狙われてるって警戒もしてるけど

今は皆で穏やかに毎日を過ごしてる


ちなみに…


〔シオリ、これは何という食べ物だ?〕


ゼルファは長い時を森の檻の中で過ごしてたから

色んな料理やお菓子に興味津々

今では食事や休憩中のお菓子に一番敏感になってる


そして戦闘

人型になっても自在にドラゴンの皮膚に変えれる、爪も

しかも、かなり頑丈

物理攻撃は勿論、属性魔法が通じない

ドラゴンのじゃなくても、剣を人型の素手で受け止めたり…

それを見た時


「「チートかよ…」」


蓮と紫音がボソッと呟いた


〔ハハハッ!我はドラゴンぞ!人間の力など効かぬわ!〕

 

私達が思うに…

この世界で、最強じゃない?的な存在が家族になったと認識した


ついでに

私がゼルファの力を使う時、両目がゼルファと同じ様になるらしい

その内、体の竜化も上手く出来るって

 

 

ある日の夜

自室でのんびりしてると


〔我が主〕

「ん?」

〔ゼルファを受け入れた事により竜化が出来るのであれば…、

 我に近い姿にもなれますか?〕

「「(…それって、つまり…)」」

「それでなくても、元々姿を変えられるよ」

〔ほう…。シオリにはそんな力もあるのか!〕


蓮と紫音が考え込んでる内に

ラルフをモデルに《メタモルフォシス(動物への変身)》をしてみる

でもこの能力、最近使ってなかったから加減が…

 

 

紫音side

姉さんが光に包み込まれたけど、形が変わっていかない

光が消えたら


「…え」

「あ?」

「? 目線が変わってない、…失敗した」


姉さんが落ち込んでヘナヘナと座り込む


「「…」」


目を瞬き、茫然とする

ラルフが近寄り、姉さんの頰に鼻を擦り付ける


「ラルフ、ゴメンね。失敗しちゃった…」

〔いえ!とても可愛らしいです!〕

「? 可愛い?」

〔はい!〕


俺と蓮が固まってるのを余所にラルフは尻尾をブンッブンッ!と振って

姉さんに擦り寄ってる


〔ハハハハッ!半端な姿になってしまっておるのぅ!〕


ゼルファはスゴイ笑ってる

蓮をチラッと見れば、口元を隠してプルプル震えてる

ハッキリ言おう…

今の姉さんには、白い犬(狼)耳がある!

ネグリジェ(寝間着)で分かり辛いけど

お尻ら辺が膨らんでるから、きっと尻尾もある

失敗して落ち込んでる中、ゼルファから半端って言われたから耳がシュン…と垂れてる


俺達が何も言わないのをどう思ったのか


「蓮、紫音、…どう?」


姉さんが上目遣いで不安そうにコテン…と首を傾げる


「…、可愛いよ。姉さん」

「………だ」

「え?」

「…ムリだ」


蓮はボソッとそう言って


「レノ、フェニア」

〔〔はい(おう)〕〕


2人の精霊が出てきたところで、蓮が俺を見る

あ、はいはい…


「皆、今日はあっち(俺の部屋)で寝よ」


精霊はすんなりと部屋に行き


〔次は成功した姿が見てみたいぞ!〕


ゼルファも楽しそうに行った

俺は姉さんと離れたがらないラルフの首を引っ張りながら自室に入る


〔シオン!何をする!!〕

「…ラルフとレノは姉さんと感覚とかを共有してるんだっけ?」

〔それがどうした?〕

「明日まで、それを遮断するのって出来る?」

〔? 何故だ?〕

「いいから、出来る?」

〔可能ですよ、シオン様。ですが、何故その様な事を?〕

「…その方が姉さんにとっては、いい筈だから」

〔我が主にとって良い事なのか、ならばそうしよう〕


後は大人しく寝るだけだ


「蓮、程々にね…」