精霊

蓮side

王に付いていく事…数分

ある部屋まで来た


「ここだ」


部屋に入り見渡すと

壁や床の至る所に不思議な紋様があり、天井には一番デカいのが

王は栞を見る


「シオリ、ここがどんな場所か分かるか?」

「…」


栞は部屋を見渡し


「部屋の不思議な紋様と、不思議な…神獣と近い様な気配を感じます」

「それを感じておれば大丈夫だろう

 シオリ、精霊を呼び出すのだ」

「「!」」

「…、私が…、ですか?」

「きっと中心に立てば…、恐らく体が自然と動く

 何故だろうな…、シオリなら出来ると感じるのだ」

「…分かりました」

「シオン、レン、お主達は中心でじっとしておれば良い」

「…それだけ、ですか?」

「そうだ」


紫音と目を合わせる

お互いに目を瞬かせ、戸惑う


「大丈夫」


栞が俺達の前で微笑む


「「栞(姉さん)」」

「2人は楽にしてて、何となく出来るって思う」

「…分かった」

「よろしく」

「ん、まずは紫音ね」


栞が紫音と手を繋ぎ、部屋の中心に

俺は王に誘導され、紋様の外側に


「楽にしててね」


栞は紫音の目の前に立つと、おずおずと片手を紫音の胸に、もう片手は上に向け

目を瞑る

すると、天井の紋様が白く光り始めグルグルと周り、形が崩れていく

数秒後、淡い緑色に光る球が紋様のとこから出てきて栞の手に

光の球はそのまま栞に吸収され、栞が光る

やがて光は紫音の胸に移動し、今度は紫音が光り始める

光が収まると


「いいよ」


無事に終わったのか?


「説明は後からするから、蓮と交代ね」


紫音がこっちに歩いてくる


「次は蓮だ」


…髪が

栞と同じ様に…、緑のメッシュが入ったみてぇになってる


「…おう」


俺は栞の元に歩み寄る


「蓮も、楽にしててね」

「おう」


胸に手を当てられ、栞が目を瞑る

さっきと同様に光の球…今度は淡い赤色だ

ソレが俺の中に入り、次第に馴染んでいく


「いいよ」


俺も終わった


「ありがとな」

「ん、戻ろ」


手を繋ぎ、王と紫音の元へ

…なんか紫音が俺の髪を見てる


「…俺も髪の色が変わってんのか?」

「うん、赤が入ってる。…ってか、俺もって…」

「ああ、紫音も緑が入ってる」

「へ〜」


お互い、髪を触ってると


「それにしても驚いたな…

 まさか上位の…四大精霊を呼び出すとは…」

「「よんだい精霊?」」

「うむ 四大精霊とは地、水、風、火の四大元素の精霊

 基本呼び出せるとしても、下位精霊が精々なのだが…

 シオンは風、レンは火の精霊が宿っておるな

 その影響が髪に出ておるのだ」

「「…」」

「どうだ?この機に剣術等も習ってはどうだ?

 精霊と意思を交わし、上手く力が使える様になれば

 いざという時に、心強かろう」


お互いに目を合わせ、頷く


「「ぜひ、お願いします」」


栞を護れるんだったら、何だってやってやる

 

 

昼過ぎ

お父様とソルが立ち合いのもと

蓮と紫音に宿った精霊の具現化をする

火と風…お互いがお互いを高め合えるから

これから2人の力になってもらえる様に、同時に具現化する

攻撃力の高い精霊を具現化するから、多少傷付いてもいい部屋で

お父様とソルは私の後ろに

私も蓮と紫音の後ろに立ち、背中に手を添える


「2人共、体の中の精霊の気配は感じる?」

「…おう」

「…うん、分かる」

「じゃあ、合図したらソレを引っ張り出すイメージをして」


精霊が具現化出来るだけの魔力を2人に送る


「今!」

 

 

ザキロ王side

シオリの合図と共にレンとシオンから赤と緑の光が溢れ

その光は2人の前で形を変えていく

見えてくるのは、鳥の様な形


「…っ!」

「…、あ、あれは…」


ソルが思わず、言葉を溢す

あれは、文献でしか知らぬ…っ、伝説と呼ばれておる…っ!?


「火の精霊…フェニア(不死鳥)と風の精霊…ジル(風の王)」


赤いオーラを放つ、美しい鳥…フェニア

緑のオーラを放つ、体は人間だが…頭が鷲(ワシ)のジル

四大精霊を呼び出した上、その中でも上位に君臨する精霊だったとは…

思わずシオリを見る

これだけの精霊を、しかも2体同時に具現化するには、どれだけの魔力が必要なのか…

後ろ姿だけでも、疲れた様子が無いまま魔力を注ぎ続けている


「…っ」


〔我は火の精霊…フェニア〕

〔我は風の精霊…ジル〕


精霊はお互いを見合わせ


〔我等を呼び出した者は、我が宿る者の力となる様に繋ぎを求めた〕

〔我等はそれを受け入れた故に、宿った〕

〔〔我々が宿る者達よ、名を答えよ〕〕

「…蓮」

「……紫音」

〔レン〕

〔シオン〕

〔〔以後、お主が求める時には力となろう〕〕


そうして、精霊は2人の中に消えていった


「…終わった、のか?」

「うん。2人共、お疲れ様」


2人はホッと表情を和らげ、脱力する


「2人共、今日はもう休みなさい。シオリは残れ、話がある」

「「「はい」」」