22…夏休み

23〜夏休み

蓮side

数日間のテストは終了し、夏休みが始まる1週間前…テストの結果発表日だ

玄関ホールに順位表が張り出される

春也はギリギリの順位で、夏休みの補修を免れた

気になってるのは雫…だったが、1位を取ってた

これで全員で海に行ける


「やったー!海に行ける!!雫の水着!!!」


…やっぱ、コイツは補修させておきたかったな

 

 

夏休みが始まった

海!と、はしゃいでたけど夏休みにも課題はある

ソレを終わらせてから行く事に


そして、春也にとって漸く、待ちに待った日


「海だー!!!」


海に着いて浜辺で勢い良く叫ぶ春也

今来ている所は、人気スポットから離れてる落ち着いた所


「高2の夏休みだぁああああ!」


片手にボールやら水鉄砲やらを抱えてる春也

そんな春也を尻目に私達は休憩場所や昼食の準備

バーベキューっていうのをやるらしい

春也が


「夏の海で遊びながらBBQ!最高!!」


…肉や野菜を焼くのを外でやるだけなのに

春也、何でそんなにテンションが上がる

そんなこんなで準備ができ、海へ入ろうと其々パーカーを脱ぎ始める

それを休憩所で見てる私

水着姿の紫音が隣に座る


「雫、水着買ったのに、海は?」

「買ったっていうか、あれは買わされたよね…」


紫音side

夏休みの課題を終え、姉さんと家でのんびりしてる時


「前にも聞いたけど、水着持ってないの?」

「うん、持ってない」

「なら買いに行「嫌だ」」

「何で?」

「…嫌だ」


ピンポーン


「誰だろ?」

「和士と、あと3人」

「?  3人?誰?」

「今に分かる」


ガチャ…スタ、スタ、スタ


「おい、出迎えろよ」

「あ、すみません。」

「ったく、…で、連れてきたぞ」

「連れてきたって誰「よう(こんにちは・来たよー!)」

「!?  今井!?…と、誰…?」

奈緒さんと美弥、正の嫁と娘」

「…は?え…今井、結婚してたんだ。しかも子供まで…」

「知らなかったの?」

「白狐のOBと言っても何も話さないし…指輪してないし…」

「指輪着けてると、悪さした生徒を殴れないだろ。普段は外してる」


なるほど…いや、なるほどじゃないけど


「栞お姉ちゃ〜ん〜!会いたかったよ〜!」


姉さんに抱きつく、ミヤ…ちゃん

小学生くらいか?


「栞、私も会いたかったわ」

奈緒さん、今日はありがと」

「い〜え全然!」

「2人共、紹介するね。私の弟の紫音。」

「ど、どうも」

「よろしく、私は正の嫁の奈緒です。」

「私は美弥!よろしくね、紫音!」

「よろしく、美弥ちゃん」

「ん〜、私もう5年生だから、その呼び方は止めて」

「なら、美弥…でいいの?」

「うん!」


あれ、今井や奈緒さんと美弥はネックレスをしてない


「ここに来て、大丈夫なんですか」

「?  ああ、大丈夫よ」


答えたのは奈緒さん


「私達は身に着ける物じゃないの」


俺の言いたい事を理解してくれてる

って事は


「ええ、能力を知ってるわ」

「栞お姉ちゃん、凄いんだよ!いつもお願いしてるの!」

「お願い?」

「うん!お姉ちゃん!いつものやって!!」


美弥は何かが包まれてるティッシュと手の平サイズの瓶を姉さんに渡す

姉さんが丸まってるティッシュを開けば色とりどりの花弁


「沢山拾えたね」

「頑張ったもん!」

「何するの?」

「コレをドライフラワーにして瓶に入れる」

「瓶に花を入れて…それだけ?」

「まあ、見てて」


姉さんは花弁を両手で持つ

左目にペンタクルが浮かぶと花弁が浮き、手の中で舞う

花弁がみるみる内にドライフラワーになっていく

花は瓶に入っていき、全部入る頃には部屋中に香りが


「はい」


ドライフラワーを入れた瓶を美弥に渡す


「ありがと〜!」


こういうのって蓋を閉めなくていいのか


「蓋は…」

「大丈夫よ」

「生体コントロール…《テロメア》だ。

    本当は人の生命活動をコントロールする能力だが。

    そこは栞だから、だな。

    コレを家に置けば、栞の力がある香が纏えて、お前のネックレスと同じ効果を持つ」


そんな事も出来るんだ

そう思ってると、姉さんが不安気に俺を見てる

姉さんが何を思ってるか、姉さんの様に力が無くても分かる


「ビックリはしたけど、気味悪がってないよ。凄いなって驚いただけ」


姉さんはホッとした顔で目線を落とす

不安にさせない様に優しく手を握り


「大丈夫だよ」


姉さんは人の感情に敏感なんだ、心の声以外でも他人の感情を読み取れる

能力じゃない、きっと今までの生活で身に付いたんだ


「…で話戻すぞ。2人に来てもらったっつう事は欲しいモンでもあるのか?

    前に服は頼んだだろ?」

「…………水着」

「「「「…水着?」」」」

「……水着、選んでほしい……」


皆、ポカンと口を開けたまま固まって

次第に目を輝かせ口角が上がっていく


「「「「よし!水着だな(ね)!!早速買いに行こ!!!」」」


見事にハモった


「服、いつも奈緒さんと美弥に頼むの?」

「気軽に出掛ける訳にはいかないから代わりにね。

    奈緒さんはともかく美弥は、私には似合わないのしか選んでくれないんだけどね」


…姉さんの服装の謎が解けた

基本クール系やカジュアル系が多いけど、時にフリルとか可愛いのを着てる時がある


『あの子、またこんな服選んで…』


その表情と声には、呆れと恥ずかしさ、嬉しさが混ざってる気がした

ああ言う割に、ちゃんと全部使ってるのは知ってる


だから姉さんは今日、水着を着てるか持ってきてる筈

俺も見るのは今日が初めてな訳で

だから、早く見てみたい気もある…けど


「雫、海入るぞ」

「雫さん、行きましょう」

「嫌、ここにいる」


さっきから、この繰り返し

姉さんはパラソルから一切出ようとしない

俺も誘うが


「私はいいから、行っといで」