SSクエスト(3)

翌日

ギルドに行き、クエストボードを確認する


「次はコレにしようぜ」

「ん」

「了解」


蓮が依頼書をボードから取り、ミルデのとこに行くと


「なあ…」


後ろから男の人の声が

振り返れば、大きい男の人と後ろに女の人と細っそりした男の人が


「何だ?ロギア」

「レン、それにシオン、お前等2人…俺等のパーティーに入らねぇか?」

「「……、は?」」

「…」


呆然としてる2人

ロギアという男は、私を見て


「お前、シオリ?だったか?

 テメェみたいな弱いチビはさっさと家に帰んな」

「そうよ!アンタみたいなのはギルドにいるのが間違ってんのよ!

 生意気に犬なんて連れちゃって!

 アンタは街で犬と散歩しとけばいいのよ!」

〔ヴゥゥ…ッ〕

「ラルフ、落ち着いて…」

「ロギアとキエラの言う通りだよ

 レンとシオンの迷惑なんだから、早くここから出ていきな」

「!?」

「おいっ!何言ってんだっ!?」


紫音と蓮が驚き、反論する


「お前等だってクエストに行く度に、こんな足手纏いがいて迷惑だろ?

 でも優しいから引き離さない

 だから代わりに言ってやってんだぜ?」

「…っ何、勝手な事言って…っ!」

「私が足手纏い?」


ロギアが私を見下ろす


「ああ 分かったなら2人、いや…、俺等の前から消えろ」


キッと威嚇される


「…何で私が弱いって決めつけてる」


ロギアはフンッと鼻で笑い


「テメェは実地試験の時、何もせずに魔物を倒してた

 大方…、2人が助けてたんだろ」

「試験は外部と遮断される魔法陣の中でやってた

 なのに、外部からの手助けで私が勝てたと…、そう言ってるのか?」

「そうだよ、それだよっ!

 普通外部から遮断される筈だ!

 それをラーガに贔屓してもらって助けれる様にしたんだろっ!?

 じゃなければテメェみたいな奴がSSランクになんかなれる筈がねぇんだよっ!!!」

「ロギアッ…テメェッいい加減にしやがれっ!!」

「姉さんがそんな事したって、本気で言ってんのかっ!!!」

「お前等こそっ!いい加減コイツを庇うのは止めろっ!!」


蓮がロギアに掴み掛かる


「レンとシオンが強いのは分かってるよ

 でもこの人は試験の時、何もしてないじゃないか

 いや…、何も出来なかったんだよ

 それなのに合格って、助けてもらったって事だろ」

「ルトッ!お前まで!」


ルトという男に紫音が掴み掛かる

女は怒りの表情で私に近寄り


「どうせ2人はアンタに頼まれて仕方無くやったんでしょ!?

 ラーガだって!

 アンタみたいなチビを死なせるのが可哀想だから手を抜いてやったんでしょ!?

 全部仕組んだ事なんでしょ!?

 どうせアンタは2人がいなくちゃ何にも出来ない、か弱い女なんでしょ!!

 何にも出来ないクセにSSランクなんかに…っ!

 私達のギルドに入ってくんじゃないわよ!」

「…」

「…っアンタ!さっきから何にも喋んないでっ!おちょくってんのっ!!??」


女が手を振り上げた瞬間


「何やってる」


奥からラーガが


「ラーガッ!アンタには失望したぜ!」

「あ?」

「アンタはコイツに頼まれて、こんな弱っちい奴をSSランクにしたんだろっ!?」

「…何を言ってる」

「とぼけないで!この女を贔屓した事は分かってるんだから!!」


ラーガは私を見る


「お前は?」

「…は?」

「この状況をどう思う」

「…、勘違いされて騒がれて面倒臭い」

「…フッ、そうか。…ミルデ」

「はい」

「あのクエストを持ってこい」

「え…」


ミルデが戸惑ってる

ラーガはミルデに目を合わせ


「いいから…、持ってこい」

「…はい」


ミルデが奥に消える

ラーガがロギアと周りを見渡し


「コイツが試験の時に贔屓されてたって思う奴が他にもいれば出てこい」


騒つく中、数人が出てくる


「要はお前等は、コイツの試験結果を疑い

 SSクエストもレンやシオンだけがやって、おこぼれを貰ってるだけだと

 そう思ってる訳だな?」

「…、だって、あんなのおかしいじゃないですか!

 実際試験の時、何もしてなかった!」

「SSクエストを無傷で終わらせて帰ってくるなんて!

 2人なら分かりますけど、どうせこの女はただ護られてるだけですよ!?」

「…お前等、本気でそう思ってんのか?」

「それが事実でしょうっ!?」

「…、…はぁ」


ミルデが出てくる


「ラーガ」

「おう」


ミルデからラーガに渡されたのは、依頼書

大分古そうな紙に、SSクエスト…しかも属性魔法が無効化出来る魔物の討伐とある


「おいアレって…っ!?」

「確か、出来る奴がいねぇから他所に回された、あのクエストか!?」

 

ザワザワと煩い


「このクエスト、コイツ等を連れてお前だけ戦え」

「「「!?」」」


周りが驚いてる中


「分かった」


依頼書を受け取る

魔物と、巣の殲滅


「魔物が住む一帯は、ソレ以外何も無ぇ

 だから、遠慮無くやっていい」

「…分かった」

「それと、…、」

「…了解」

「場所までは俺が全員連れてってやる

 チビに文句がある奴は明日、必ず来い」